努力の天才・村上淳が築き上げた「たられば」の具現化【熱論!Mリーグ】

 

 

(熱闘Mリーグより)

これは村上がずっと付けてきたというノートだ。

村上は決して天才ではない。しかし20年以上毎日続けてきた勉強と反省が、天才に匹敵するほどの麻雀モンスターを作り上げてしまった。

昔を思い出している間に1000.2000のツモアガリ。

次局のこの選択も面白かった。

ここから村上はを切った。

まずこの手牌、形上はイーシャンテンだが、愚形×愚形では相当テンパイしづらい上に、ドラ0枚のカンチャンではそもそも「リッチ」しない。つまりこの手はイーシャンテンとは呼べない。そこで好形を作れるマンズのという部分とドラそばのを残してリャンシャンテンに戻したのだ。

次の巡目にうまいことをツモるも、アガれず。この日、村上はツモが噛み合わず、テンパイすることも難しかった。

代わりに立ちはだかったのが多井だ。

東4局、下家の石橋のリーチを受けて

多井はこの手牌。を落として回っていく。そうして迎えた9巡目。

こんなイーシャンテンになっていた。678の三色が確定していてそこそこの手牌だが、が浮いていては厳しいか。が、ここから多井はを力強く押した。

これが、本手率の高い亜樹や黒沢のリーチだったらオリていたかもしれない。愚形ドラ1くらいの可能性が残る石橋のリーチだからこそ中盤過ぎでの2枚プッシュを敢行したのだろう。この判断が…

ハネマンという形になって結実する。

ABEMASとしても、ここでトップをとるのとラスを引くのではファイナル進出率に大きくかかわる場面だ。ギリギリまで踏み込んで得たアガリは痺れるものがあったと思う。

再び多井。

アガって迎えた親番で、村上のリッチに対してこの手。

現物のを切るかと思いきや、多井の選択は通っていないをプッシュ!

リャンメン、そしてあわよくば三色を作ってリーチするという意志が伝わってくる。万が一をツモってきてしまっても、禁断のフリテンおっかけリーチという手もある。

この2000オールあとに6000オールをアガり、勝負の趨勢は決まったように見えた。

しかしオーラス、親の村上が追いすがる。

ここまで守備面で光るものを見せるも、結果が出ずに迎えた親番でのこの手牌。

ここから何を切るか。

受けが広いのはもちろん打だ。しかし村上はそんなことは百も承知でを切った。

たしかに瞬間のテンパイ受け入れは

 

→20枚

→10枚

 

と、倍も違う。しかしペンをツモってのタンキや、をツモってのリーチのみ愚形など、満足できるテンパイになる牌はほとんどない。それならばこの手牌をイーシャンテンと捉えず、ソウズの連続形を活かしてよりよい形を作っていこうという意図だ。

を残すことによって、

ツモでさらに良いイーシャンテンに前進する。

狙い通りをツモってより広いイーシャンテンになった。そして次の巡目だった。

をツモってどうするか。

まずリッチのみのカンでは分が悪い上に見返りが低すぎる。

は切らないとして、私は瞬間的に打が面白いと思った。カン待ちになった時の布石と、裏目のツモでもイーペーコーが完成するからだ。しかし村上は考えたのちに…

を切った。

早い段階でを切っている人が複数いてソウズの上が有力、リャンメン待ちになる牌が最も多く、そして極め付きは…

裏目のツモをツモっても

三面待ちのフリテンリッチが打てることだ!

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