堀が明かした
読みの深淵
521の切り順に
垣間見えた、
神々の景色とは──
【週刊Mリーグ2021レポート11月8~12日】文・須田良規
11月9日(火)の第2試合、結果から言えばトップは赤坂ドリブンズ・園田賢であった。
この日ドリブンズは初戦の村上淳に次いで連勝。
不振に喘いでいたチームの復調に、世間の関心は集まった。
このときの試合を、対局者であったKADOKAWAサクラナイツ・堀慎吾に聞く機会があったのだが──、
私はこの記事を書くことを、正直迷っていた。
その理由は後述する。
場面は南2局。
トップ目であった南家・園田が、ポン、ポンとして、
逃げのテンパイを入れる。
カン待ちの1000点である。
そこに東家のKONAMI麻雀格闘倶楽部・滝沢和典もをチーしてテンパイ。
カン待ちのタンヤオ三色赤で5800。
そしてラス目西家のセガサミーフェニックス・魚谷侑未がリーチ。
仕掛けのメンツを含め、3枚切れのペンであるが、ラス目でドラ5枚の勝負手。
魚谷は最後のを引き当て、見事に3000・6000のツモアガリを果たした。
さてこの局であるが、堀は最初
「園田さんをまくりたいから、魚谷さんのリーチの現物でも切らず、
局が続くなら親の滝沢さんに打ってもいいから切ったりしてたんですよねー」
という話をしていた。
特に他の状況に関心はないといった様子で、ただ園田をまくりたかったと。
しかし、私が驚いたのは、次に堀が何気なくつぶやいた言葉だった。
「あ、魚谷さんは序盤の切りで、があると思っていました」
──なんだって?
振り返ると魚谷がを切ったとき、手の形はこうである。
これに次巡ツモで打、ツモで打となっている。
確かに──、が、ある。
それにしても、それだけでなぜわかるんだ?
「だとそのケースが多いです。ならがありますね」
ここからは、堀の説明を私が伝えるために、煩雑でつまらない文章になることを許して欲しい。
まず、魚谷の手牌は単独でがあった格好ではないことが前提。
これはリーチまでの状況と全体の色から、最終形にピンズがゼロと考えにくいことで補完されている。
すると周りの牌があってもを切ってを残す理由があるということ。
だけだと、から切るのが自然になる。
そうでないのは、イッツーの種になるがあるからだ。
なら、確かにから切るのが普通だ。
だとからになりそうで、堀としてはペンチャンが残っている方がしっくり来ると。
は、この段階では保留。
これがだとして、同様にイッツーの種になる形があるからを切ったと仮定しても、
や、。これらはの切り順にはなりにくい。
「断定はもちろんできないけど、ではないかと想像していました。
決め手になったのは園田さんの2フーロに対し、魚谷さんがかなり危険なを、だいぶ長考してから押したことですね」
「序盤のピンズの後のトイツ落としもしていて、イーシャンテンくらいでかなり行きたいラス目。
を切っているのにで長考するのは、園田さんに対する怖さもありますが、
さっき保留しただったとすると、今想定しうるのが、、で、が現物。
どれも魚谷さんの挙動にはしっくりこないんですね。
なんでやっぱりが残っているなら、まあ合点がいくかなと思いました」