西原理恵子 & 山崎一夫 旦那麻雀と乞食麻雀!

手にはハンマーやバールを持っています。
中には、コンクリートを削るための、電動ハツリ機を持っている者もいました。
突然社長が、目の前の麻雀卓を蹴飛ばした。

「こっちへ来い!」

若い雀ゴロを待ち席のソファに引きずり倒しました。
雀ゴロは青ざめましたが、すでに遅かった。

「おどれ、顔面をハツられたいのか?」

ドスのきいた初めての関西弁です。

社長は待ち席にあった、グラスの乗ったトレンチ(銀盆)を掴んで、若い雀ゴロの頭に力いっぱい叩きつけたのだ。

床に落ちたグラスが、大きな音とともに飛び散りました。
周りの者は逃げ腰でしたが、私は逆に安心しました。
実をいうと、私はそれよりも以前に、この社長に灰皿で殴られたことがあるんです。

「てめえ俺ばっかり狙い撃ちしやがって!」

その時はサイド・テーブルにあった、アルミ製の灰皿で殴られました。
最初は恐怖を感じたけど、ハデな音の割には痛くはありません。

「今度舐めたことをしたら、承知しねえぞ」

捨てゼリフを残して立ち去った後に、部下が言いました。

「山ちゃん、運が良かったな。社長がもっと怒ってたら、待ち席のでっかいクリスタルの灰皿でやられてるよ。
 灰皿を縦に持って石斧のようにして、頭蓋骨をカチ割るんだ」

大きな音や動作は、吉本芸人の島木譲二さんの、アルミの灰皿で自分の頭を叩く「ポコポコヘッド」みたいなものかもしれません。

「俺らは、ホントの喧嘩の時は黙って静かにやる。大声や動作がデカいうちは、ケガはしても死ぬようなことはない」

ケガだけでもイヤです~

 

(文:山崎一夫/イラスト:西原理恵子■初出「近代麻雀」2012年3月1日号)

●西原理恵子公式HP「鳥頭の城」⇒ http://www.toriatama.net/
●山崎一夫のブログ・twitter・Facebook・HPは「麻雀たぬ」共通です。⇒ http://mj-tanu.com/

さいばら&山崎の でかぴん麻雀入門は毎週水曜更新!!(次回は4月3日更新予定)

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