「粘り」で「欲張り」、
鈴木たろうが見据えるは
”打点と和了り率の交差点”
文・渡邉浩史郎【火曜臨時ライター】2023年12月12日
第1回戦
東家:鈴木たろう(赤坂ドリブンズ)
南家:萩原聖人(TEAM RAIDEN / 雷電)
西家:日向藍子(渋谷ABEMAS)
北家:伊達朱里紗(KONAMI麻雀格闘俱楽部)
「物は言いよう」とはよく言ったものである。
「飽きっぽい」は「切り替えが早い」、「時勢に敏感」。
「せっかち」は「決断が早い」。
「頑固」は「信念を持っている」。
etc……
物事の持つ二面性。プラスの側面とマイナスの側面は表裏一体である。
それが”人”の特性を表す際、基本的にはプラスの言い方のみが表現として用いられることが多いが……
この”ゼウス”にもっぱら使われるのは「欲張り」、そして「諦めが悪い」。
神の立場からすれば人の尺度から見たプラスやマイナスなど、意味がないだろう。
【東1局1本場】
ゼウスの欲張りはいきなり発動する。
前巡に対面が切ったをスルーして自力で暗刻に。そして完全イーシャンテンを拒否する打。
ドラのを使ってさらに打点を押し上げたいという意思から生まれた、「欲張り」の二重奏。
ドラのこそ使えなかったが、先にカンチャンを埋めての両面リーチなら問題なし!
親番での先制リーチに踏み切るが……
「見切り」が持ち味の伊達。ある種たろうとは対局の存在に位置するが、ここはイーシャンテンから攻める「粘り」を見せる!
ドラのが自身の目からすべて見え、も見えた。打点的観点から対親リーチとはいえ、ここは押すところという判断か。
無筋もだいぶ少なくなったが、聴牌ならばとを横に曲げての追っかけ!
そして一発ツモ裏1! 跳満の和了りで一躍この東場をリードする展開に。
マンガン以上の和了りが場を支配した東場。【東4局】、伊達の親番はたろうのマンガンの和了で辛くもトップ目に立っての南入となった。
【南1局】
親番のたろう、配牌で七対子のイーシャンテンをもらう。七対子一本ならを残したいが、もも役牌のため、仕掛けを見据えて切りとした。
切りとしなかったのは横に伸ばしてのホンイツも見ているからだろう。
を仕掛けて切り。ポンからならスムーズにトイトイに移行できるが、他から鳴けた時にはどうするか。の対子がもっと鳴きやすい端よりの牌であれば話は簡単だが……
たろうに選択の時が訪れる。
を切れば1500~3900までが見込める聴牌。
と切れば瞬間の聴牌を逃すものの、12000のイーシャンテン。ただしが若干ネック気味。
「親番こそ打点を欲張る意味がある」
そんなたろうの声が聞こえてきそうな切り。
打点的理由はもちろんのこと、たろうにはもう一つ勝算があった。
それはこの聴牌形に辿り着けたときの強さ!
4cmの人がと落として待ち。これは聴牌取らず以外ではほぼ当たる事のない形。