リーチをかけなかった、
竹内元太が見ていたもの
文・江崎しんのすけ【月曜担当ライター】2025年4月21日
4月21日 第2試合
東家:園田賢(赤坂ドリブンズ)
南家:本田朋広(TEAM雷電)
西家:滝沢和典(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
北家:竹内元太(セガサミーフェニックス)
南3局1本場

元太は28,700点の2着目。
トップ目の園田までは10,600点で、供託が1本あるので満貫をツモれば逆転してオーラスを迎えることになる。
3着目の本田とは12,800点、ラス目の滝沢とは13,600点差と余裕があり、もしこのままの点数でオーラスに突入すればラスに落ちることはなさそうだ。
整った配牌が入った元太は、手を真っすぐに進めていく。

すると、3巡目に元太が切ったを、下家の園田がリャンメンでチーする。

狙う手役はタンヤオなので、ここからを2枚落としていくつもりだろう。3巡目でリャンシャンテンの手から、あえてシャンテン数を落としている。
ポイントは点数状況にある。園田の当面のライバルは2着目の元太で、本田と滝沢が競っているので、仮にこのままの点数でオーラスを迎えれば、本田・滝沢のアガリ競争となり、自身がアガリに向かわなくてもトップを守り切れる可能性は高い。
ただここで元太に満貫以上の手をツモられると、ほぼ並びでオーラスを迎えるので、トップの行方は全く分からなくなる。
そのためこの南3局では、園田からすれば元太にだけはアガって欲しくない訳だが、元太の捨て牌は→
→
といかにも手が早そうな河をしている。
そのため、元太に自由に手を進行させないため、圧力をかけつつ自身の手を進める仕掛け。
引き出しの多さに定評のある園田だが、Mリーグ7年目でもその発想力には驚かされてばかりだ。
7巡目、元太の手は打点が狙えるイーシャンテンに

平和・ドラ1の手だったがを引いたことで567の三色が狙えるようになった。
その直後


親番の滝沢がをリャンメン
でチーして打
とする。
元太から見た捨て牌がこちら。

場に2枚目ので、枚数が少ない訳ではない。
滝沢がラス目であることを考えれば、低打点、例えば2,900点のチーテンなどは考えにくい。面前で仕上げれば着順アップが狙え、仕掛けてアガったとしても状況はほとんど変わらないからだ。
稀に手がどうしようもなくバラバラで、仕掛けている園田に自由に打たせないためのチーなども考えられるが、滝沢はと持っていながら序盤に
→
と切っており、好形変化が見込める
を見切っていた点から、打
の時点でターツは足りていると読めるだろう。
そのため、滝沢の仕掛けへの基本的な考え方は、満貫クラス、最低でも5,800点以上となる。
その4巡後、滝沢は手からを切る。

このを元太が合わせると

園田がチーして赤単騎のテンパイが入る。

直後、滝沢はを手出しする。

そして

元太に待ちのテンパイが入る。
は2枚見え、5sは滝沢の副露に1枚使われており1枚見え。
でアガれば567の三色で、園田を逆転する満貫になる。
当然のリーチかと思われたが…

元太はなんと、ダマテンに構える。
もう一度、河を見てみよう

滝沢はを手から切った後に、安全牌をツモ切って更に手から
を切っている。
手の中にがある可能性が高く、代表的な形でいうと、例えば
や、
などが挙げられる。これであればタンヤオ狙いで
を落としていったことにも説明が付く。
と持っていて
を引きスライドさせたケースもあるが、元太の手に
が2枚あり、園田が序盤に
を切っていて離れて
を切っていることから
を1枚以上持っていると考えると、滝沢の手は
を持っていて、かつ
を持っていない形の可能性が高い。
そして序盤にを切っていながら
を手出ししたので、
も持っている可能性は高い。
元太がリーチをかけなかった理由は大きく分けると2つで、1つ目は点数状況だ。