リーチをかけなかった、竹内元太が見ていたもの【Mリーグ2024-25セミファイナル観戦記 4/21 第2試合】担当記者 #江崎しんのすけ

冒頭でこのままの点数ならラスを引く可能性が低いと書いたが、仮に元太が滝沢に満貫を放銃してしまうと、滝沢とそのまま立場が入れ替わり、本田とほぼ並びに3着目になってしまい、状況は激変する。

チームランキング3位とはいえ、まだファイナル進出が確定していないフェニックスとしては、この点数から満貫を放銃してコナミ・雷電に着順を抜かれるのは余りにも罪深い。

そして2つ目は、滝沢の待ち候補がかなり限定されている点だ。

ソーズは全部通っており、マンズは【5マン】と何かのシャンポン待ちか、カン【4マン】が本線。ピンズは【6ピン】とドラの【2ピン】を持っている可能性が高いと考えると、残っているのは【4ピン】【7ピン】くらいしかない。

待ちの可能性が高い【4マン】【5マン】【4ピン】【7ピン】のうち、【4マン】【4ピン】はスライドすることでテンパイを維持できるため、アガリを目指しつつ危険牌を吸収することができるのだ。

また元太の待ちの【5ソウ】【8ソウ】は滝沢の仕掛けには通りそうなので、ダマっていれば高目の【5ソウ】でも園田・本田の2人がツモ切りそうな点も大きい。

実際には、滝沢はドラ3のカン【4マン】待ちのテンパイが入っていた。

【3マン】【5マン】【7マン】と持っていたが、雀頭だったドラの【2ピン】が暗刻になって打【7マン】。その後【6ピン】が重なって打【8ピン】でテンパイだ。

最終形なのでついリーチに踏み込んでしまいそうな手だが、元太は冷静な判断を見せる。

しかし、今回はこの選択が結果として裏目に出てしまう。

数巡後、元太は【5ソウ】をツモ。

リーチをかけていれば跳満になっていたが、これでひとまず園田を800点逆転する。

オーラスは園田とのアガリ競争になるが

アガったのは本田と3着争いをしていた滝沢だった。

1,000-2,000のツモアガリで滝沢は3着に浮上するが、親被りにより元太は園田に逆転されてしまう。

南3局1本場で、もし元太がリーチしてアガリを跳満にしていれば逆転されていなかった。

試合後のインタビューで南3局1本場の選択について聞かれ、悔しさを全面に出しながらも「あれはダマります。無理ですね」ときっぱり言い切っていた。

今回は選択が裏目に出てしまったが、リスクを最小限に抑えるスタイルで成績を残し、レギュラーシーズンでは醍醐とともにチームを支えてきた。

セミファイナルに入り醍醐以外の選手が苦戦しているフェニックスだが、チームの躍進にはこの男の不可欠だろう。

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