先導する本田、追走する内川。チームメイトへの思いを胸に秘めた、熱き男たちの叩き合い【Mリーグ2023-24観戦記 11/3】担当記者 渡邉浩史郎

先導する本田、追走する内川。
チームメイトへの思いを
胸に秘めた、熱き男たちの
叩き合い

文・渡邉浩史郎【金曜担当ライター】2023年11月3日

第1回戦

東家:茅森早香セガサミーフェニックス
南家:本田朋広TEAM RAIDEN / 雷電)
西家:中田花奈BEAST Japanext
北家:内川幸太郎KADOKAWAサクラナイツ

「雷電の麻雀は面白い」

Mリーグ流行語大賞があったなら、まず初代チャンピオンはこのワードになっていただろう。思い返せばはや5年である。その間、常に雷電はこのテーマとともにあった。

ここまで浸透した大きな理由の一つに挙げられるのは、まず間違いなく黒沢咲の存在がある。我々の常識を覆す「超門前麻雀」でこれまで数々の結果を残してきた。その姿は間違いなく雷電イズムの一つとしてファンの道しるべとなっているだろう。

そんな黒沢が、今期は苦しんでいる。ここまで5回出場してトップ無し、ラスが3回。まだ序盤とはいえ、チームの好調に自身の成績が翳りを落としている状況は、何より黒沢自身が許せない。

そんな黒沢とは対照的に、今年の雷電のテーマとして掲げられている「超脱力」に最も適合しているのは本田だろう。

現状のポイントこそ例年ほどの爆発力はないが、副露率34%に対して放銃率4%は驚異の一言。黒沢と同じチームとは思えない仕掛けの多さを武器に、守備力も備えている。
自由気ままに卓上を飛び回って傷一つつかない、その様はさながら空飛ぶはぐれメタルだ。

もちろんそれだけが本田の「超脱力」ではない。

【東1局】、本田はここから【赤5ソウ】を切った。↓

フリテンとはいえ、打点の種になるターツである。
チームメイト3人それぞれの雷電イズムに則るなら、【6マン】【7マン】切りでイーペーコーと赤を両方使っての高打点を見るだろう。

しかしここは場にソウズが高いこと、そしてのちに【中】のポンテンの形になった時、フリテン待ちになっては躱し手としての価値が激減することを危惧しての【赤5ソウ】【6ソウ】落としとなった。

チームメイトの中では明確に本田オリジナルの手順。結果として後手の押し返しが成功しての高打点聴牌で流局となったが、まさにこだわらない「超脱力」の形だろう。

そして得意の仕掛け、【東2局】親番では赤3の勝負手を序盤から仕掛ける。↓

仮に萩原や黒沢、瀬戸熊がこの仕掛けをしたら他家の警戒度はマックスまで上昇しているだろう。しかし本田の仕掛けは今やストップ安。他家からすれば形も打点もなかなか読みにくい。

警戒されないという隠れたメリットをしっかり捉えての12000で、この局の手綱を取る展開となった。

さて、実は本日本田に相対している三者には、いずれも未だトップがないという共通点があった。

その中でも入場シーンから鬼気迫るものがあったのは内川。

アウトレイジかと見紛う気合の入った顔つきだ。

チームのポイントは微プラスながらも、現状は岡田一人に全てを背負わせてしまっている。おまけにリーダーの自分はチーム一番のマイナスを背負う立場。
形こそ違えど、今の雷電における黒沢と立ち位置は似ていよう。普段の柔らかい表情を一変させるほど、その立ち位置に不甲斐なさを感じているのかもしれない。

【東1局】、本田のリーチが入っている局面。内川はこの形から茅森が切った【白】のポンテンを取らず。↓

無筋の【1マン】を切っての躱し手にするくらいなら、回っての三色変化やベタ降り、そして……

この門前でのリーチにこぎつけたかった! 茅森の【白】対子落としを一発でとらえてマンガンの和了りをものにする!

しかし先述の本田の12000に加えてさらに5800の追撃を入れられたことにより、追う立場となった内川。

先導する本田、追走する内川。奇しくもチーム内でのポジションと同じ展開となってきた。

実は本日、岡田は別のタイトル戦のトーナメントに勝ち上がっていたため、この一戦目は留守だった。(何なら私と同卓していた)

「岡田様の留守を俺たちが守る」

そう意気込んでいたサクラナイツの男性三人。

まずは勝負どころの【東3局5本場】、マンガンの和了りで供託3本含めて全回収でトップ目に立つ↓

そして【南3局】、大事な大事なラス前…… 二枚切れのドラ単騎七対子の聴牌を入れる↓

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