2020年初陣できらめいたのは…萩原聖人と多井隆晴 スター同士の魅せ合い【熱論!Mリーグ】担当記者:ゆうせー

熱論!Mリーグ【Mon】

2020年

初陣できらめいたのは… 

萩原聖人と多井隆晴 

スター同士の魅せ合い

文・ゆうせー【月曜担当ライター】2020年1月6日

2戦目

東家 萩原聖人 (TEAM雷電)

南家 前原雄大 (麻雀格闘倶楽部)

西家 多井隆晴 (渋谷ABEMAS)

北家 鈴木たろう (赤坂ドリブンズ)

実況:小林未沙

解説:勝又健志

明けましておめでとうございます。本年もキンマweb、そして【熱論!Mリーグ】をよろしくお願いいたします。

失礼ながら、新年の挨拶もそこそこにして試合内容に入りたいのは、東1局で見る者に衝撃をあたえた選手がいるからである。

その選手とは、

多井隆晴。微笑みをたたえての登場だ。

対局開始直後、

多井はをポン。

続くツモでを引き入れ、この形になった。

さて、切り番だ。

私は「どちらかのターツを払うだろうな」と思いながらモニターを見つめていた。

というのも、多井は打点を重んじる打ち手だからだ。

鳴いているも含めて、ホンイツをアガるための4メンツ1雀頭、5ブロックが思い描ける。浮いているドラのにくっつきさえすれば、満貫以上が望める。

ほんの数秒考えたのちに、多井は優しく牌を河に置いた。

「あっ」

という言葉の後“一番意外な選択”だ、と解説の勝又は続けた。それくらい、この打は、多井というプレイヤーの印象から想像するのが難しい一打だった。

ホンイツを見切り、今あるリャンメンと役牌のトイツを活かしていち早くアガろうとする選択。1局単位のミクロな視点でみるとそれが狙いだろう。

では、2019Mリーグトータルでの、マクロな視点の多井の意図とはなんなのだろうか?

一つは、解説の勝又も説明してくれたように「軽い仕掛けもするよ」と他のチームの選手に思わせることだろう。仕掛けの打点幅が広いと認識してもらえたら、いざ多井に仕掛けての本手が入ったときに、相手が“安手かも…”と勝負してくれるかもしれない。

もう一つは、あくまでも私の想像だが、「セミファイナル進出を目指して大振りをしない」というレギュラーシーズン中盤以降の戦略ではないだろうか?

チームポイントはこのようになっている。

ABEMASは現在+120.6ptの2位。6位までがセミファイナルに進出することを考えると、そこそこ有利なポジションである。

そして、セミファイナルではレギュラーシーズン終了時点での持ちポイントを半分にして戦う。さらに、上位4チームによるファイナルは、セミファイナル終了時の持ちポイントを半分にしてスタートする。

昨年も行われたから記憶にも新しいが、ファイナルは4チームによる直接対決が続く。

誤解を恐れずに言えば、『どのみちポイントの価値が下がるのだから、ファイナルまでは振るい落とされないようにして、とにかく残ることが最優先。勝負はファイナルになってから』という考え方もできる。

話を多井に戻すと、多井は以前にも、長い優勝争いのうち、序盤は「オリて勝とうと思っています」という趣旨の発言をしていた。これは、上で述べたポイントシステムを強く意識してのことではないだろうか。

そして、「オリて勝つ」という思考の延長線上に、この局の仕掛けのような「軽くアガって勝つ」という意図があると考えれば、納得できるように思うのだがどうだろうか。どちらも「大ダメージを避ける」という狙いが共通している。

この局はの2000点で多井がアガリ切るのだが、似たような意識が次の東2局の手組にも表れているように思う。

この手牌だ。ここで多井が選んだのは、

ドラの受け入れを拒否する打

をポンしたときやアンコにしたときに、ドラ待ちよりも待ちの方がアガりやすいというのが狙いだ。ここでも、「打点よりアガりやすさ」という意志が垣間見える。現状の有利なポジションをキープしようという作戦に思えるのだがどうだろう。

この手は多井がをアンコにして、裏目のドラを臆せずに切ったあと、で5200を出アガる。

レギュラーシーズンは折り返しを過ぎた。このように、今後の試合でも各チーム、各選手に戦い方の変化が現れてくることが予想される。

変化と言えば、続く東3局、ある選手の戦法に変化が見られた。

その選手とは、

気合十分、萩原聖人だ。

5巡目の萩原は、

このような手牌だった。

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