ヴィーナス、天才、ベルセルク… 女流プロたちはMリーグで輝けるか⁉︎【熱論!Mリーグ】

熱論!Mリーグ【Tue】

ヴィーナス、天才、

ベルセルク…

女流プロたちは

Mリーグで輝けるか⁉︎

文・梶谷悠介【遊軍ライター】2018年10月30日

「一度始めちまった選手紹介、今日もやるしかないだろッッ!!」

「選手入場!!」   「点棒集め工事現場責任者入りまーす。ガラクタリーチ建設会社は今日も絶好調!!」

「暴走ブルドーザー前原雄大プロだーーー!!!」

 

「ABEMAのピンチは俺が救う。人気と実力を兼ね備えた麻雀エンターテイナー!個人成績1位は伊達じゃないぞ!!」

「最速最強 多井隆晴プロの登場だーーーー!!!」

 

「何があってもスタイルは崩さない。その美貌と知性と超攻撃型メンゼン麻雀で一時代を築いてきた!!」

「強気のビーナス 黒沢咲プロの降臨だーーーー!!!」

 

「麻雀の勉強は好きじゃない(‘ω’)そう言いながらついに最高の舞台に来てしまったぞ!!」

「元祖天才 茅森早香プロだーーー!!!」

 

 

というわけで本日もよろしくお願いします。

起家 前原雄大(麻雀格闘倶楽部)

南家 多井隆晴(ABEMAS)

西家 黒沢咲(雷電)

北家 茅森早香(フェニックス)

 

長い間麻雀界で活躍されてきた4人だが、所属団体の違いからか交わることは少なかったように思う。まさしくMリーグならではの組み合わせ。個性的な4人が揃ったが、この日私の目を引いたのはTEAM雷電、黒沢プロだった。

 

東2局0本場

3巡目でドラ2赤1、そして役牌のが対子。当然自分なら仕掛けられるところは全部仕掛ける場面だ。 上家のをスルー。 ありえない…思わず赤木リツコのように固まってしまった。自分の価値観では満貫ある手で2鳴きする理由を見つけることができない。 しかし黒沢は急所のカンを引き入れる。 直後に出てきたをポンしてペンのテンパイ。 そうか…他家からはを2鳴きしていていかにも打点に不満があるように見える。そしてこの時、前原が自風のを1鳴きしており、注目はそちらに集まっていた。 なんの迷いもなく打たれる。掴んだのは前原だったが、前原に安全そうなは誰が掴んでも出ていただろう。 もしも面前派の黒沢が1鳴きしていたら他家の警戒を瞬時に集めていたかもしれない。面前派ゆえに工夫された鳴きというわけだ。

東4局0本場

これも赤赤で役牌が2つの好配牌だがをスルーしている。 しかし1枚目のはポン これは1鳴きすることで高打点を読まれそうだが 一体誰が絡みのシャンポンテンパイが入っていると思うだろう。 普通はを鳴いて打点がありが鳴ける形なら最初のを鳴いていると読むだろう。 役牌の1枚目をスルーすることで2枚目を出やすくする 面前派の鳴きの妙技を見た瞬間だった そしてトップ目の茅森から直撃することができた。

南1局0本場

しかし天才も負けてはいない。ドラで自風のを重ねると打の両面外しを敢行。が自分から3枚見えていることもあるが、たった今が打たれたばかりでこの瞬間が最も鳴きやすくなっている。 すぐが鳴けて満貫のツモアガリとなった。

南2局0本場

多井は打としてカン残し。を引いたときの待ちの強さと、裏目の引きでもフリテンの三面張を残すことができる。難しい選択をさりげなくこなしていく。 この切りは雀頭が欲しい手なので、の早切りが2人いることから重なりやすいを残している。 のくっつきを重視する方もいると思うが、が1枚切られていてピンズの形が弱い。できればを払ってイーペーコーを確定させて打点とアガリ率を高めたいので雀頭候補探しを優先したのだろう。 黒沢は直後に出たをスルーしているが、前述の理由で合点がいく。この局は茅森が欲しかった雀頭をドラで作ることができ、前原から倍満をアガった。

南3局0本場

注目は右下の高宮ではない。 かわいいけど視線をずらして左上のを見てほしい。この巡目でスルーしている。 トップのチャンスがあれば積極的に狙っていくのが雷電の麻雀なのだ。 直後に待ち変えした茅森がリーチ。 直後に黒沢もテンパイし追っかけリーチ。高打点で直撃も狙えるチャンス!ここしかない! しかし勝ったのは茅森。オーラスは茅森の親のためここで勝負あり! 2着でこの表情である。だが必死にトップを取りに行く姿勢に胸が熱くなった。

【1回戦結果】

1位:茅森(フェニックス)+76.4 

2位:黒沢(雷電)+15.9 

3位:多井(ABEMAS)▲17.7 

4位:前原(麻雀格闘倶楽部)▲74.6

2回戦は気になった局だけダイジェストでお送りします。

起家 萩原聖人(雷電) 

南家 高宮まり(麻雀格闘倶楽部) 

西家 多井隆晴(ABEMAS)

北家 茅森早香(フェニックス)

東3局0本場

高宮はここからを切ったが打としたほうがテンパイチャンスは広い。仮にを引いても使うことはできる。

東4局1本場

茅森打を選択。 でチーしていてドラのが3枚見えているための重なりを期待したのだろうが、引きテンパイを逃したくないので私は打としそう。 多井平和赤1テンパイでダマを選択。が3枚見えていることと、 親の茅森の仕掛けには通りそうなのをみてアガリ率を重視している。 茅森、チー打としてイーシャンテンのままタンヤオへ移行。一見仕掛けられるようになって赤2ドラ1の満貫があるためテンパイチャンスが広くなったように見えるが、多井は親の高宮がを仕掛けたのを見て現物を打っている。高宮があたりを捨てていたら鳴ける公算は高かったが、索子の真ん中は捨てられていない。ゆえに鳴くことはあまり期待できず状況は変わっていないとみる。     オーラス 萩原は打を選択。一発逆転の四暗刻を見ての一打だが、さすがに遠かったか。 高宮カンでリーチ。心情的に応援していた。なぜならこの半荘高宮はリーチ宣言牌で放銃したのも含めると、ここまで計11回ものリーチ宣言をしてアガれたのが2回だけだった。 そして12回目のリーチ宣言は  でテンパイしていた茅森から満貫のアガリとなった。

【2回戦結果】

1位:多井(ABEMAS)+72.0 

2位:高宮(麻雀格闘倶楽部)+6.7 

3位:萩原(雷電)▲18.5 

4位:茅森(フェニックス)▲60.2

多井が見事チームを首位陥落の危機から救った1日となった。が、不思議と記憶に残ったのは女流の打ち筋だった。男性雀士にはない独特の感性と気迫に魂を揺さぶられたからに違いない。

梶谷悠介

最高位戦日本プ麻雀協会所属。HNツケマイとして天鳳やブログで一時話題となる。去年パパと麻雀プロに同時なった男。最高位とMリーガーを目指して連続昇級中。

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