“踊る!バッシー御殿‼︎”は面白い! 石橋伸洋で楽しむ方法 【熱論!Mリーグ】

熱論!Mリーグ【Mon】

“踊る!バッシー御殿‼︎”は面白い!

石橋伸洋で楽しむ方法

文・花崎圭司【月曜担当ライター】2018年10月29日

 

やっぱり「踊る!バッシー御殿!!」は面白い!

「どういう麻雀が好きか」とか「この雀士はすごい」という話を、麻雀友達と話したことか一度はあるかと思う。「あの一打はすごかったね」「よくあそこで我慢した」とか、流れの話をしたり、デジタルの話をしたり。それも半年ぐらいすれば自分の麻雀感も変わってくる。「あの雀士、最近好きなんだよね」と“推し変”“推し増し”したり。そういうところ否定せず、みんなでわいわい話すのが楽しい。

話が少しそれるが(私の観戦記はいつもそれるが)、「デジタル」の反対語は「オカルト」ではなく「アナログ」なんだけどなあ、と思う。さらに言えばロレックスとか機械式ではない時計はクオーツ時計なので、アナログ表示もデジタルなんだけどなあと思う。ほとんどの雀士は広義の“デジタル”という効率を考えている。それを麻雀でどう表現するかは人それぞれ。長針短針秒針という“針”をつかったり、100分の1まで表現できるデジタル表示を採用したり。もちろんクォーツを使わず、別のアプローチをしたり。それが面白いなあと思う。

閑話休題。
「誰が強いか」「誰の麻雀が好きか」という話に比べると、「この人の麻雀は面白い」というのはあまりしないと思う。
そんな中、その話題で出てくるMリーガーといえば、まずはおそらく鈴木たろうプロ、そしてMリーグのプロモーションCMで「雷電のCMは面白いですよ」と言っているように萩原聖人プロが出てくると思う。
私もこの2人の打ち方も面白いし大好きだが、「楽しいし、自分もやってみたい」と思うのが、バッシー、石橋伸洋プロだ。

雀士は行くべきか行かざるべきか考え、自分のエゴ、つまり“自己都合”と葛藤しながら戦っている。言い換えれば“自分”との戦いだ。
石橋伸洋プロももちろん“自分”と戦っているが、“まわり”の雀士とも戦っている。いや、戦っているというか、メッセージを送っている。お笑いでいうところの“フリ”だ。
「こういうのどう?」
バッシーは牌を切って、まわりの雀士に話を“振って”いるのだ。まわりの雀士もそのフリに答えたり、時にはスルーしたりする。
この牌を通した会話、フリをさせれば、バッシーが一番だと思う。
バラエティ番組でいう“MC”となって、まわりの雀士たちを“まわし”ている。
そんな「踊る!バッシー御殿!!」が開かれる。

Mリーグ第5週月曜、第17節。


東家は、村上淳(赤坂ドリブンズ)、
南家は、石橋“バッシー”伸洋(U-NEXTパイレーツ)、
西家は、近藤誠一(セガサミーフェニックス)
北家は、佐々木寿人(KONAMI麻雀格闘倶楽部)

 

最近不調ながらも踏ん張る村上、安定の成績を出し続けている近藤、そして気になるのは佐々木寿人。絶不調だったが先週金曜に国士無双をアガり、Mリーグ初役満。成績も気持ちも上がってきた。
このメンツで「踊る!バッシー御殿!!」でバッシーは3人をどう回していくのか?

東2局 ドラ
東1局を軽快にアガったバッシー。勢いに乗って、をポンする。

「鳴き」と一括りにされることが多いが、バッシーの鳴きはその中でも軽やかだ。役牌ドラ1オッケー!という声が聞こえる(私が勝手に投影しているだけなのだが)。
さらにバッシーは止まらない! をツモってくるとそのまま加カン! 新ドラは! 関係ない! リンシャンからツモってきたのは! 赤だけど使いにくい! でもなんとか使ってやるぜ!

【バッシー手牌】
 ポン

鳴く気満々の配置! バッシー、ノリノリである。
でもそれをいさめるように近藤とヒサトが反撃のツッコミリーチ! カン裏が乗るかも! ピンチ! でもここでアガるのがバッシーだ!
――と思っていたらアガったのはヒサト。アガれんのかーい!

それでをツモるんかーい! しかも裏ドラ3枚ものるんかーい!
ヒサトの倍満! 満貫の倍の点数だから倍満! それをバッシー親カブり! これは痛い!
でもまだまだバッシー御殿は番組前半! スベることを恐れず攻める!

 

東3局1本場
ここで先制リーチは「今週の踊る!ヒット賞!!」最右翼のヒサト! 先週の役満効果が続いているのか勢いが止まらない! ヒサトのリーチが飛ぶ!

村上もチートイツのテンパイを入れるがダマ。リーチに行かない。

「じゃあ僕が行きますよ!」

と手牌に赤牌が2枚あるバッシーがチーを入れテンパイ。待ちはカン

 チー

このバッシーの“まわし”に反応したのか、村上もリーチをかける。

3人お祭り騒ぎになっているなか、近藤は安全牌ゼロ。自暴自棄になって攻める、ということはなく、我慢して撤退する。卓が大盛り上がりしているところでも冷静でいられるのは、さすが土田晃之さんバリの安定感である。
で、ここでアガったのは、お待たせしましたのバッシー!

ヒサトからの放銃だが、点数は3900点の1本場で4200点。でもさっき倍満でヒサトに8000点払っているから、まだマイナス! まだまだ笑い……いや点数が欲しい!

 

そして南1局。ドラ
石橋の配牌は、

赤入りのの両面ターツはおいしい! 一盃口も見える!
――と思ったらこのを2巡目3巡目に切る!

出た! バッシーの大まわし! 卓上がざわつく。

「私の手、どう見ますか? さすがに高そうですよね?」

というメッセージが打牌にビシビシ込められている。
実際の手牌は、

【バッシー手牌】

とスーパーチャンス手!
しかしまわりに「引いた方がいいですよ」というメッセージが来たときこそ、冷静に踏み込む人がいるんです。そう、近藤プロが「撤退するのはあなたですよ」とリーチをかける。

麻雀にはこういう人が必要なんです。

【近藤手牌】

「そうきたか! まあかめへんかめへん!」
とバッシーは無スジのをノータイムで迷わず切る。

この打牌は近藤だけでなく、村上とヒサトにも「まじかよ」と思わせる。
しかしここは近藤が満貫をツモアガる。

さすが職人仕事人である。この時の9索ツモってきた指の力強さ、そして気合いの表情がかっこいい。これを引き出したのはバッシーといってもいいのではないか。

その後、南3局2本場、供託3本あるところで、リーチ超人・村上がハネ満をツモりトップにあがる。


さて。おわかりであろうか?
「踊る!バッシー御殿!!」では4人全員活躍しているのである。
しかもオーラス南4局での点数状況は、

村上30300

バッシー16000

近藤28300

ヒサト25400

と大混戦となっている。
ちょっとバッシーだけ置いていかれているが。

 

そして南4局 ドラ
近藤がホンイツ狙いでトップに向かっているところ、ヒサトがポン、打でテンパイを入れ連荘を狙う。

このヒサトのを、近藤は冷静にポン。テンパイを入れる。

 

【近藤手牌】
 ポン チー ポン

近藤はホンイツもしくはチンイツと分かっているが、ヒサトはノータイムでドラのを切る。この真っ直ぐなところがヒサトの魅力だ。

トップ目の村上は手牌が苦しい。そしてバッシーはというと

チートイツ狙いで現在4トイツ1アンコ! 頑張ってるしドラをツモってきたけどなかなかキビしい! ヒサトと近藤のマッチレースだ!
と思ったら数巡後、

ここでをツモってくる。そのツモってくる指が震えている!
そしてノータイムでドラ待ちリーチ!

 

なんとツモれば逆転トップ! どうなる!

冷静の近藤、を切りオリる。
一番槍ヒサトは、オリず、アガりに向かう。
そしてヒサトがをツモり、ノータイムで切る。

「ロン」
とバッシーが手牌を倒す。

裏ドラは……乗らず8000点。
バッシーは3着、ヒサトは4着に落ち、点棒を持っていた村上がトップという結果になった。

この半荘は、誰の目線で見るかで様相が変わってくる。
私はバッシーで見たから面白かった。
そして村上、近藤、ヒサトのどの目線から見ても面白い戦いだった。
最後、ドラのを持ってきたヒサト、あそこで我慢していればという人もいるだろう。でもヒサトを応援している人は、を切らないヒサトはヒサトじゃないと思っているのではないだろうか。

 

ちなみに第2回戦。

U-NEXTパイレーツの小林剛が開局から怒濤の4連続アガりを見せるが、

南場に入りヒサトが南場全5局中4局ツモアガり、しかもオーラス以外は全部リーチと、ヒサトらしさ全開で逆転トップを取る。

流れ、というと嫌う人もいるだろうが、こういう「物語性」、ドラマがあるから麻雀は面白い。
そしてバッシーがいると、そのドラマがさらに俄然、面白くなるのだ。

花崎圭司(はなさきけいじ)

放送作家・小説家・シナリオライター。映画化になった二階堂亜樹の半生を描いた漫画「aki」(竹書房刊)の脚本を担当。

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