この手牌からを切り
6巡目
このカンのテンパイを取らずを切り(!!)
8巡目
当然このテンパイも拒否してツモ切り
10巡目
そしてこのマンガン確定テンパイを悠然とリーチする。
この意志のこもった力強い手順に、私は少なからず驚いた。
やや深い巡目でリーチは打ちづらいし、そもそも私はカンの時点で裏目が怖くてテンパイに取ってしまいそう。
「リーチ超人」「ハネ満おじさん」の名に恥じない、素晴らしい1局だったと思う。
5巡目、その村上の手がハタと止まった。
ドラが3枚あるチャンス手で、役牌が重なった場面。
村上は少考の後、を切った。
場を見るとペンは悪くないように見える。
村上の思考を推測する。
この手牌、メンゼンでのテンパイは苦しく、発ポンはもちろんのこと、や、が出てもトイトイを保険にバックでポンしていくことになりそうだ。
となると、ほとんどのケースで次にが出ていくことになる。
それならば攻守に活きる中を温存して、先にを払っていこうじゃないか。
こういう感じだと思う。
とても繊細で丁寧な選択だ。
続いて
をツモ。
ここで村上は2枚見えたばかりのをリリースする。
を残しているあたり、村上はチートイツを強く意識しつつ、の横伸びを期待した選択を取ったのだろう。
ただ、私はツモ切りが良いと思う。
チートイツに関してはほとんど速度差が無いし、横伸びに関してもすでにポンしやすいトイツが揃っているので価値は薄いと言える。安全なを持つことで押し返しやすくなり、ひいてはアガリ率がアップすると考える。
ただ赤受けもあるので難しい。みなさんはいかがお考えだろうか。
こうして終盤に
テンパイを果たす。
(おおーすげー)
と人並みの感想を抱いていた私の耳に、幻聴が聞こえたのかもしれない。
「リッチ!」
む、村上さん…!ダマで、ロン8000ツモ12000~16000の手ですよ?
あと3回しかツモありませんよ!
いや、あらためて待ちを見てみると、はドラでありも残りの1枚は赤だ。
この終盤においそれと出る牌ではない。
それならば牽制しつつ、アガったときにトップ率上昇に大きく貢献する「決定打」になるよう、最大限打点を高めておきたい…というのが村上の発想だろう。
結果は流局に終わってしまったが、あの早めにペンチャンを払う繊細さと、勝負手を躊躇なく曲げる大胆さと…村上の真骨頂を見た1局だった。
次局も村上の技が光った。
ドラはで、村上はここからを切った。
カンはロスになるが、ドラそばのを残すことができる。