このように村上は、ロスを最小限に抑えつつ、一気に打点上昇する牌を残すことによってトップ率を高める選択が得意なんだな…と感じた。
この手、めちゃくちゃうまくいけば345や123の三色も見える。
そういう意味でもを残す価値はのロスに足る…という判断だろう。
次に
をツモり、アンコになった。
さすがの村上もここはを切るか…と思っていたら、なんとここでも村上はを切ったのだ!
「ZERO君、私はさほどリーチドラ1に興味ないんですよ」
という村上の声が聞こえてくる。
待望のツモ!
村上は123の三色は見切って切る。
テンパイだ。
通常なら迷わない手牌だが、実は直前に親の松本がドラをポンしており、ナーバスな局面になっている。
このテンパイは見合っているのか。
松本に止めるべき牌はあるのか。
待ち取りはでいいのか。
ウンウンと頷いた後、この局も彼のコールが対局場にこだました。
リッチ!
亜樹のように我慢を重ねるのも勇気が必要だが、想像力を持って手牌を構築し、その手牌に運命を委ねてリーチ棒を投げるのも、やはり勇気が必要だろう。
テンパイを崩せない松本から8000のアガリ。
(LIVEの文字で見えないが裏が乗った)
「ジャパンのムラカミがレイズ(リーチ)してきたらフォールド(オリる)しろ…!」
「やつのハンドレンジは狭く、必ずハイハンド(高打点)が入っている…!」
ポーカーっぽく表現するとこんな感じか。
東3局。
この局が決まり手となった。
プレミアハンドを手にしたのは亜樹だった。
まずは4巡目。
ドラがでをツモってきた場面。
チートイツのイーシャンテンだったが亜樹はここで
柔らかくを切る。
リャンシャンテンになってはしまうが、こちらの方が受け入れ、テンパイ確率、最終的な待ち…全部強い。いわゆるタンヤオスキーのお手本のような打牌だ。
続いて、本人も予想してなかったであろう牌をツモってくる。
4枚目のドラだ。
ここでさらに予想外だったのは、亜樹が
アンカンしたことだ!
はをツモってきても使えるし、アンカンの選択は普通の人からしてもワンテンポ、亜樹からしたらツーテンポ早い。
やはりハンドレンジを意図的に広げにいっているように感じる。
周りからしたらたまったものではない。
ただでさえ顔面蒼白になるドラのアンカンなのに、そのアンカンの主が亜樹となると、最低でも整ったイーシャンテン、もしかしたらテンパイが入っているかもしれない。と考える。
ポーカーだったら即フォールド、という場面だ。
まさかリャンシャンテンからカンをしているとは誰も思わないだろう。
ここでも亜樹ブランドが活きた。
直後の前原の手牌。
実は、上家の亜樹の捨て牌にあるをポンしてのシャンポンテンパイにとることができた。しかし、いつリーチがかかるともわからない亜樹の唯一の現物であるを消費するポンはできなかった。
こうして周りが手をこまねいている間に、亜樹は
テンパイを入れる。
待ちでリーチ。
前原、村上がフォールドしていく中で