西原理恵子 & 山崎一夫 麻雀で食え!今でも食えるのか??




 

麻雀で食え!
今でも食えるのか?

「好きな麻雀を打って、生活費が稼げたらいいのに」

そう考える麻雀ファンは、けっこう多いようですね。

私はかつて「麻雀で食え!」という戦術コラムを、この近代麻雀で長期間連載し、単行本も出させてもらいました。

連載を始めた当時、それまでフリー雀荘の低レート化とゲーム代の高騰で、麻雀で食えない時代が続いてたんですが、再び食える状況が生まれたので、そのものズバリのタイトルになったんです。

その理由は、当時のフリー雀荘で、2の2-6などの高レートの東風戦が流行し始めたから。
東風戦なら10回打つのは、ほんの数時間。

単行本に、私1か月間に打った360回のうち、何回トップだったかのデータが載っており、29%と少し高めで、そこそこに勝てました。

オンライ麻雀の「ハンゲーム」で、私が数千回打ったデータでは、トップ率が28%でラス率が19%、放銃率が9%くらいでした。

「ハンゲーム」にも「天鳳」にも、私よりも遥かに成績のいい人たちがたくさんいます。
そういう人たちが、もし「麻雀で食え!」の時代にリアルで打てば、かなり稼げたと思います。

時代のタイミングと、ローカルなチャンスに恵まれれば、ずいぶん勝てそうですね。

ただし、現在ではこうした高レートで東風戦の店は、当局の指導でほとんど無くなってしまいました。

「ギャンブル性が高すぎる」
「実質的なゲーム代が高すぎて、風営法に違反するケースがある」
「反社会的勢力に資金が流れる恐れがある」

などが主な理由です。

それでも麻雀で食っている人は現在でもかなりいます。
店によっては、表向きは東南戦ですが、

「南入条件は、トップが三万点以下の時」

などの特殊ルールの店があり、そういうローカルな店で稼いでいるんです。

 

ネットで腕を磨いて
ローカルに勝つ

全自動麻雀卓が登場する以前は手積みの時代なので、積み込みなどのイカサマをする雀士がたくさんいました。

そのイカサマをテレビなどで暴いたのが、現在日本プロ麻雀連盟の最高顧問である、小島武夫プロです。

また、活字版の近代麻雀が創刊されたのも、このころです。

これらの出来事で、当時の麻雀に関する情報格差や技術格差が格段に縮まり、雀ゴロが勝ちにくくなったんです。

これに追い打ちをかけたのが、インフレ時代のゲーム代のアップ。
私の学生時代は、東風戦1回のゲーム代は、トップ者がまとめて五百円払うだけ。

一人あたり125円という、今考えれば信じられないような安さでした。
そのころは、ちょっとした努力で、麻雀で食えることがあたりまえだったんです。

「若いころは麻雀で食ってたことがある」

という年配者は、私を含めてけっこう多いんですが、かなりハードルが低い時代だったんです。
先の飯田橋のデータも、昭和レトロな時代の、わずか1軒のローカルな雀荘の1000回に満たない部分的なデータです。

私が若い頃からギャンブルライターや麻雀ライターをやっているのは、ローカルな雀荘の麻雀仲間に、たまたま出版関係の知り合いが多かったからです。

麻雀がズバ抜けて強かったという証拠はありません。

「山ちゃんは、ツキの話をいっさいしないのが珍しい。試しに原稿を書いてくれないかな」

そんなキッカケからライターを始めたんです。

先に「麻雀で食え!」のデータを紹介しましたが、この時私が勝ったのは、東風戦1回でせいぜいチップ1枚分(千円)の浮きくらい。

ゲーム代が五百円か125円かでは、実質的な実入りが大きく違ってきます。
時給換算すると千円近く違ってくるんだから恐ろしい。

「昔は、ほとんど負け無しだったんだけど、歳を取ってヒキが弱くなった」

そんな年配の雀士もいます。
実際のところは、インターネットの時代になって、さらに情報格差や技術格差が縮まったことや、現在のゲーム代の高さなどが主な理由だと思われます。

現在でもフリー麻雀で食っている人の代表は、裏メンや打ち子と呼ばれる人たちです。

腕のいい裏メンなら、理論上は大きく稼げるハズですが、実際にはそうもいかないことが多い。

歌舞伎町の入り口にあった東風戦の店は、社長以下幹部全員の麻雀のレベルが高かったので、裏メンすらもカモられてました。

社長たちは、一般のお客さんに気持ち良く遊んでもらうために、裏メンに対しては、厳しく打っていたんです。

たとえば、上客や太客に対しては、自分がトップ目でも、リーチ棒を出して、逆転のチャンスを作ったりとか。

決してワザと振り込んだり、自分がアガらなかったりなど、あからさまなことはしない。

また、裏メンがトップで上客がマンガンツモでも僅かに届かない場合は、意図的にリーチ棒を出して、トップ条件を満たしてやったりとか。

結果はどうなるか分かりませんが、上客がそのチャンスを楽しんだことは確かだと思います。

ある時、社長はすでに鳴いており、リーチをかけることはできない。
ところが社長は、誤ポンをしてまで罰符千点を供託したんです。

裏メンは首をかしげながら、負け分を払っていましたが、もしかしたら楽に勝てた時代の記憶を引きずっていたのかもしれませえん。

好きな麻雀で、現在も裏メン(打ち子)で稼いでいる人はけっこういます。