Mリーグ2018ベストオブ【多井隆晴】〜21人のMリーガー名場面集〜

多くの人の興味は”渋谷ABEMAS vs KONAMI麻雀格闘倶楽部”という構図に注がれていた。

ファイナルシリーズの3位と4位では1,000万も賞金に差がある。

来期以降へ向けてのチームの予算という意味でも、この3位と4位の差は非常に大きい。

そんな大将戦に出場するのは…

当然この男をおいて他にはいない。

 

多井は今まで溜まっていた鬱憤を晴らすかのような、実に見事な打ちまわしを見せ、南4局で格闘倶楽部に役満条件を付きつけた。

するとその南4局、役満条件の寿人がをポン。

大三元の2シャンテンだ。が既に切られていることで、他家も寿人の狙いは大三元だと認識する。

「ふーっ」と大きく息を吐いたのは多井。役満の可能性が少しでも出るだけで心が大きく締め付けられる思いだっただろう。

そしてなんとこの時点でもその全てが山に残っている。これはひょっとすると…。

そのうちの1枚を掴んだのは多井。これで多井はこの局は手じまい。寿人の役満が成就しないことをただただ祈るのみ。そう思われた。しかしたった1回のツモで多井の手牌はガラッと見違える。

この状況で、このツモが意味することは聡明な読者の皆さまなら想像に容易いだろう。

「リーチ」

多井は高らかに宣言。

それは2018 Mリーグの最後のツモ牌に眠っていた。

 

「ヒーローは遅れてやってくる。ちょっと遅すぎたかな?」

 

2019シーズンは、もう少し早いヒーローの見参に、期待したいところである。

 

阿部柊太朗

最高位戦日本プロ麻雀協会所属。オンライン麻雀「天鳳」の牌譜機能を駆使した超緻密な観戦記が話題に。ブレイク間近の若手プロ雀士。

(C)AbemaTV

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