中央線アンダードッグ 第11話【長村大 連載小説】

だが実際に行動に移す段になり、心中にいささかの躊躇もなかったかと問われれば、否と言わざるをえない。極力それを悟られないように、おれは手牌を伏せてノーテンの意思表示をした。

下家も上家も少し驚いたようであったが、コニシは無表情でおれの伏せられた手牌を一瞥し、ノーテン罰符を払った。おれはトップから2着へ、コニシは3着からラスに落ちて、二次予選は終わった。

 

結局おれは2位で予選通過、ラスのコニシは敗退となった。

「負けたやつはとっとと帰るよ」

普段と変わらない、飄々としたかんじでコニシが言った。だがほんの僅か、言外に悔しさがにじみ出ているように思えたのはおれの勘違いか、あるいはバイアスをかけて見てしまっていたのか。

帰り支度をするコニシを横目に見ながら、おれはオーラスの選択を考え、コニシだったらどうしたかな、とかそんなことばかり考えていた。じゃあな、と言って立ち去ろうとしたコニシに、またな、とだけ答えた。慰めてしまわずに。

 

第12話(5月15日)に続く。

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長村大
第11期麻雀最強位。1999年、当時流れ論が主流であった麻雀界に彗星のごとく現れ麻雀最強位になる。
最高位戦所属プロだったが現在はプロややめている。著書に『真・デジタル』がある。
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