「多井プロ、麻雀以外の
仕事増やしてて大丈夫?」
多井隆晴プロ
特別ロングインタビュー
【第1回/全5回】記事:東川亮
Mリーグ、そして麻雀界においても中心人物として活躍している、渋谷Abemasの多井隆晴プロ。現在では麻雀だけにとどまらず、競馬や競輪、ポーカーなど、さまざまなジャンルの番組にも出演し、活動の幅を広げている。
キンマWebでは、そんな多井プロにロングインタビューを敢行。他ジャンルのお仕事や、麻雀以外の仕事によって培われた独自の解説スタイル、麻雀プロへの提言、そして2年目を迎えるMリーグについてなど、さまざまなことについて語っていただいた。それらを、全5回の連載形式でお届けする。
初回は、麻雀以外の仕事が増えてきていることについて伺った。
麻雀に割く時間は変わっていない
ーー多井プロは、最近では麻雀以外のお仕事をたくさんされていますが、ファンとしては麻雀をちゃんと打てているのか、気になっていると思います。
多井「麻雀はしっかり打っています、バッチリですよ。研究会も毎月3、4回はしていますし、あらゆる試合の動画や、「何切る」なんかも毎日見ています。実際、今やっているMリーグ駅伝の成績も個人1位ですし、チームも1位、RMUのトップリーグでも首位ですからね。お仕事自体は、まだまだ足りないと思っているくらいですし、8月からはボートのお仕事もやっていきます。これからもバンバンいきますよ!」
ーー他の仕事をたくさんやっていったことで、麻雀自体に割く時間が減ったわけではないんですね。
多井「それはほとんどないですね。これで恋愛でもしちゃったら、また変わるかもしれないですけど(笑)。うつつを抜かしてしまうかもしれないですけど、今のところそれはないんですよね。恋愛だけですね、僕にとって怖いのは」
-ーとなると、睡眠時間とかを削って?
多井「そうですね。ここ数年は、休みがないことが自然になっちゃってます。さすがにもう47歳になって、疲れもあるし、少しずつ休まなきゃいけないなと思ってはいるんですけど。今年の前半は毎日3、4時間しか寝ていないので、大丈夫かなって、感じです」
他のジャンルの仕事を通じて感じたこと
ーー最近は、競馬に競輪、将棋、ポーカーなど、いろいろな番組に出演されていますよね。新しい世界に触れてみて、こういうことを感じた、面白かった、勉強になったということは。
多井「やっぱり一番勉強になるのは、芸人さんの話術ですよ。番組を通じていろいろな一線級の芸人さん、芸能人の方たちと一緒になるんですけど、全員面白いですから、こちらも大変です。ネタも仕込まなきゃいけないし、しゃべりのスキルももっと磨かないといけないので。あと、番組に出る以上は、そのジャンルを勉強しておかないといけません。勉強していないのが分かったらコメントで叩かれますから。ジャンルについてしっかりと勉強した上で、そのジャンルなりの冗談や面白いことなんかも言えなくちゃいけないとなると、麻雀の仕事より何倍も大変ですよ。実際、競輪番組なんかでは、結構評判がいいみたいなんですよ」
■他ジャンルについて勉強するのは礼儀
ーー正直、そういう勉強ってめんどくさくないですか?
多井「勉強は嫌いじゃないんですよね。それに僕が覚えないと、競輪ファンにも僕や麻雀のことを覚えてもらえないですから。競輪やボートレースのトップクラスの人にも麻雀好きな方はいらっしゃるんですけど、そういう方々と交流することで、番組に一緒に出られることもあります。そこでどれだけ向こうのファンを獲得できるかが僕の勝負なんです。他のジャンルと比べてまだまだ未熟な麻雀業界が、ようやく仲間入りして、「一緒にやっていってください」という気持ちで、僕は代表して行っているつもりなので、まずは僕が他のことを全部覚えないとだめかなと。それは礼儀かなと思いますね」
ーーそこがすごいですよね。
多井「でも、簡単なんですよ、ベクトルが。僕は楽しいことをやりたいし、テレビに出ることも好きだし、ちやほやされるのが好きなんですよ。競輪番組でもポーカーでも、僕が出ると「よく勉強しているね」とか、結構褒めてもらえるんです。麻雀プロが麻雀の勉強をするなんて当たり前ですけど、目立ちたがりが目立とうと努力すると褒められるという、変な世界なんです。他の普通の人がやらないから。だから普通の人がやらないことをやるのが好きなんですよね。ただ、中には麻雀だけやっていてほしい、他のジャンルでうつつを抜かしてほしくない、みたいなことを言う人もいます。でも、麻雀だけやっていても世の中に打って出られないというか、知名度も上がらないですから」
第2回へつづく