西原理恵子 & 山崎一夫 勤務中の労働密度を上げる!

勤務中の
労働密度を上げる

若い頃に雀荘の雇われマスターとして、店の立て直しを経験しました。

今で言えば店長ですが、独立採算制でやっていたので、店が軌道に乗らなければ赤字になります。
赤字になれば店は倒産なので自腹の投資分の回収は不可能です。

その雀荘は30坪15卓だったので、麻雀卓やその他の設備や事務所なども含めて、今の物価で言えば一千万円くらいの投資金額だったと思います。

当時は木製の麻雀卓で手積みなので安いですが、今は全自動卓なので、投資金額は2倍くらいになります。

私は社長から一千万円の資産を預かって運営し、失敗すれば社長の資産は消滅。
私の出費もパーになります。

社長が9割のリスクを背負い、私はせいぜい1割くらいですが、当時そんなことを考えてたワケではありません。

「ここが無くなると行くところも無いしなあ」

くらいの考えです。

 

当時は珍しかった麻雀大会の企画が当たって、社長も私もけっこう儲かりました。

ただし、社長は投資金額が大きいので、私ほど投資効率は良く無かったでしょう。

「ヤマ、お前けっこう儲かってるらしいじゃないか。たまにはオゴれよ」

そんな冗談が聞けるのは嬉しいことでした。

なんとか赤字脱出と投資回収のメドはついたんですが、人件費の節約で体力的にはキツかった。

「はい、お待たせしましたあ!」

トレンチ(銀盆)に何本もビールを乗せて、座敷卓まで走って行きます。

で、ビールを届けた後で座敷からフロアに降りようとしても、自分が脱いだサンダルに足が届かない。

ホップ・ステップ・ジャンプのように座敷まで飛んでいたので、足が届かない所に右側のサンダル、もっと先に左側が転がってるんです。

 

雀荘の仕事はけっこう空き時間があるので、有効に使わないともったいない。

●最近来てない人やグループに連絡を取ってみよう。
●チラシのポスティングはどうだろう。

 

さっそくアイデアを実行してみました。

「山ちゃんがマスターやってんのか。じゃ、久しぶりに今から打とう」

麻雀を打っていると、別の知り合いが顔を出しました。

「ウワサは聞いたよ。俺もつきあってやる」

雇われマスターの他に
自分と他社の仕事もやる

当時の麻雀仲間に、社長の友人で神田の小さな出版社勤務の中年男性がいました。

「ヤマちゃん、今の仕事は持ち出しになってんじゃないの。
 ここがツブれたら、俺も困るんで何とかしろ。応援してやるから」

その小太りの男性は、よその大手出版社の百科事典を、ローン付きで販売するチームのボスでした。

「社長には話しを通しておいたから、今月からさっそくやってくれ」

私の仕事は、彼のチームが取って来たローン契約を、購入者本人に電話で確認するだけ。

麻雀を打ってない時間を有効に使えて、しかも収入が増えたのがありがたかったです。

ただし、彼のチームの仕事自体があまり長く続かかなったので、私の仕事も自動的に消滅しました。

どうやら麻雀をやりすぎのようでした。

 

雀荘経営のかたわらにやるのがピッタリだったのは、やはり、麻雀ライターです。
毎日自分で打つのはもちろんですが、他の人の麻雀を見てる時間がすごく多い仕事です。

「もったいない、安全牌を持たずに2トイツ残しにしてれば、、もうアガってるのに」

「あれだけ突っ込んでも振らないなんて、どういう読みをしてるんだろう」

「ヘタに見えるけどいつも勝っている。私の知らない原因がありそうなので、聞いてみよう」

以前やった雀球の仕事もずいぶ役にたちました。

 

有効牌の受け入れ枚数を、マトリクスの面積で直観的に捉えたり、2つの麻雀の確率が違っていることの理解などです。

当時主流だった麻雀記事は、

「迷彩で直撃する技術」
「ロン牌一点読みの極意」
「ツキの見抜き方と。流れに乗る秘策」

などでした。

私の提唱する「棒テン即リー全ツッパ」は、当時としては珍しかったようです。

島本さんは、それがおもしろいと思って、仕事を紹介してくれました。
なので当時の私は同時にいくつかの仕事をやってました。

  • この記事が気に入ったら
    フォローをお願いいたします!
    最新の麻雀・Mリーグ情報をお届けします!

  • \近代麻雀戦術シリーズ 新刊情報/