だが…もし裏ドラが乗らなかったら?
そんな不確実なものに、己の命運を委ねて良いのか?
リーチまでの間、瀬戸熊はそのことを考えていたのだろう。
勝利は己の手で掴み取る。
そこにはプロとしての矜持があった。
を見逃した次巡のツモ切る手には、確かに力がこもっていた。
そして日向の手にやってきたのは。
日向は切るしかない。瀬戸熊はフリテンで見逃すしかない。
そう思われた瞬間、終わりは突然にやってきた。
をポンしていた魚谷が、待ちでテンパイを入れていたのだ。
魚谷の逃げ切り勝利で、この日の1戦目は幕を閉じた。
その裏ドラは開かれること無く、神のみぞ知る代物となった。
魚谷のアガリを眺めるその心中は、どんな思いだったのだろうか。
ツモれなかった自分自身への戒めか、はたまた淡々とした次戦への切り替えか。
それでも、確かに雷電の面白い麻雀はそこにあった。
ポンできる牌をスルーして役満を目指したり、見逃してツモに賭けたり…
この日も視聴者をワクワクさせる闘牌で魅せてくれた。
「次回こそは」と期待して、また雷電の麻雀を見たくなる。
暴君の完全復活を信じて、雷電サポーターは待ち続ける。
「面白い麻雀を魅せる」
「試合で勝利する」
両方やらなくてはいけないのが、雷電のつらいところだ。
覚悟はいいか? 瀬戸熊はできてる。
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