長年麻雀業界に勤めてきて、たくさんの方を見てきたからこそ「初心者のうちにマナーを徹底的に教える」のが大切だと思っています。
もちろんそれは、優しく温かく。出来なくてもいいから、一緒に頑張りましょうという。と優しい目線で。
魚谷はMリーグの舞台でも観ている人の手本となるように、なるべく早く切ろうとしているのだ。
そんな魚谷の手が止まったのがコチラの手牌。
親番でくっつきの1シャンテン。
はドラだしはイーペーコーがあるし、周りは場況が良さそうだ。
魚谷もこのように微妙な選択で迷うことはあるが、ある程度考えたらスパッと決断して一定のモーションで牌を打ち出していく。
魚谷はを打ち出した。
❷魚谷は二度触らない。
魚谷の打牌モーションは美しい。
他の打ち手でよくあるのが「7巡目の打牌を10巡目の場所に切る」やつだ。
自分もたまにやってしまうのだが、あれは良くない。厳密に言うとルール違反だ。
他家の手番のときに所定の位置に戻すわけだが、原則として自分の手番以外で牌山や河(捨て牌)を触ることは禁止されている。
Mリーガーの中でも何人かやる人がいるので、やはり多くの人が見ていることを意識してほしい。私も魚谷を見習って、所定の位置に一発で捨てるようにしたい。
さて、次の巡目に魚谷がツモってきたのは…
ド裏目となるだ。
❸魚谷は笑わない。
を引いたときの表情がコチラ。
対局が終わった後は笑ったり泣いたり能面になったり忙しい魚谷だが、対局中は一切感情を顔に出さない。そんな暇があったら思考に回す。
再び著書から引用すると
あらゆる出来事に感情を持たずに、その局毎の最善を考えることが大事。
プラスの気持ちもマイナスの気持ちも麻雀中の冷静な精神状態を保つためには邪魔となってしまいます。
と、書いてある。
魚谷は裏目ったと冷静に向き合う。
は打点的に残すとして、との比較。
を残すとツモが嬉しくてツモは微妙。
を残すとツモが嬉しくてツモはフリテンリーチとドラタンキの選択ができる。
ドラ
またツモでのドラタンキやツモでのフリテンリーチも視野に入れたのであろう。
このようないろんなルートがある上、ソウズの上は誰も使っていなそうとみて、魚谷は…
を打ち出した。
すぐに
マンズが伸びて待ちでリーチ。
1つ1つの選択と真摯に向き合い、かといって必要以上に待たせることなく一定のモーションで打ち出していく。
その姿はまさにプロフェッショナルと言えるし、その一方で1人の女の子が麻雀と真剣に向き合っていく覚悟が垣間見えて、応援したくなるというものだ。
しかし、結果は非情だった。
仕掛けていた多井へ12000点の放銃。
点棒を支払う魚谷の表情はもちろん変わらない。
こんな結果も、麻雀を打っていればいくらでもあること。悲しんでいる暇はない。
大事なのは次にどう打つかだ。
南3局。
魚谷にチャンス手が入る。
❹魚谷に奇手はいらない。
「麻雀に奇手は不要です」
著書の表紙裏に、いきなりこの言葉が目に飛び込んでくる。
麻雀にファインプレーは必要ではない。努めて冷静に、ミスを減らし、当たり前の手を当たり前のように鳴き、リーチして、そしてアガる。このことをとても大切にしている。
その教えは初心者に向けてだけではなく、Mリーグの舞台でも同じことだと魚谷は考え、そして自らこの言葉に従い、実践している。
ちょっと麻雀の恐怖を覚えると、上の手牌からを残してを切りたくなるが、は横にも伸びる重要な牌。(ツモで使える)
魚谷はごくごく自然に…