
10巡目、親の魚谷もテンパイ。
切りでこちらもダマテン。トップの沢崎とは8万点以上の点差がついているため、この親番で加点・連荘していく価値は薄い。愚形リーチに踏み込み、小林や多井とめくり合う程の手ではないという判断だろう。
多井との点差も5700点あり、流局した場合にノーテンと言って終わらせる選択肢も残した形だ。
しかし正着と言えるだろう魚谷のこの判断が裏目に出てしまう。

13巡目、魚谷ツモ。
待ちはフリテンとはいえ、リーチをしない以上は待ちが多いに越した事はない。小林、多井からリーチがかかった場合に、ひょっこりツモで自分がアガる事や、そもそも
と
の安全度を比較すると……

切り。
そしてこれが小林のロン牌だ。

一気通貫、ドラ1。5200点のアガリ。
なんと小林のダマテンを見据えた手組が最高の形で日の目を見る事になった。
出場所最高(デバサイ)のアガリで小林は2着順アップに成功。順位点を換算すると45200点のアガリとなった。

最終結果は以上の通り。
沢崎の強さも圧巻だったが、小林の大嵐の中での舵取りも光った一戦だった。

まだまだMリーグという大航海は長い。時にはこんな嵐に遭ったり、はたまた自分が嵐を起こしたりすることもあるだろう。
しかしどんな嵐の中にあっても、パイレーツの羅針盤が優勝というただ一つの財宝への方角を示し続けている事だけは間違いない。

ヨーソロー!
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