その時間、わずか13秒…緻密な読みで暗雲を吹き払う朝倉康心のMリーグ航海術【熱論！Mリーグ】担当記者：渡邉浩史郎

その後内川からリーチを受けるも、字牌温存作戦が功を奏し比較的安全にテンパイにたどり着く。両面のテンパイからならリーチ相手でも一牌を勝負！

これも一口に言うとパイレーツらしい押しだ。そして内川とのめくり合いを制して大きな大きな1000/2000のツモ。

打点もパイレーツらしいアガリで内川のこの勝負手満貫リーチを躱した。

【南３局】

５巡目、朝倉の手牌

下家に座っているのは点棒上のライバル内川。をポンしてピンズのホンイツ模様だが、だからこそと言うべきか、対抗できる良い待ちを作る為にを切り飛ばす。

内川も当然食らいつく。をの形でチー。のポンテンを視野にでチーする選択が多数派だと思われるが、よりの方が枚数上有利な事を考慮しただろうか？ホンイツ模様の自分に、この点棒状況でを下ろしてきた朝倉への速度読みが入った事は確かだろう。打点よりもアガリ率を優先したこの選択が……

リーチ者園田のを捉える。

ホンイツ・、３９００＋供託１０００点。トップ目朝倉との点差を３３００点に縮め、ついに勝負はオーラスに突入する。

【南４局】

天鳳２００万人の頂点の名に恥じない緻密な選択を見せてくれた朝倉。そしてマエストロの名にふさわしい手順を見せてくれた内川。ここまで互いに譲らぬ熾烈なトップ争いが繰り広げられてきたが、麻雀の神様は実に気まぐれだ。両者の雌雄を決したテンパイはなんとわずか３巡目で訪れる。

朝倉。３巡目、親番、平和・ドラ１。

当然のリーチ。そしてこれをツモアガリ。２６００オール。

この２６００オールだけなら誰でもアガれるかもしれない。しかし、朝倉がこの局のこのアガリで勝負を決定づける事ができたのは、それまでのファインプレーの積み重ねがあってこそと言っていいのではないだろうか。

麻雀の神様が自分に微笑んでくれるのはいつだって一瞬だ。その一瞬を逃さないために、対局者達は一打一打をこれ以上ないほど真剣に選択していくのだ。

【南４局１本場】

さて朝倉本人がインタビューで反省していたシーンがこちら。

 

 

内川にはハネマンツモで逆転トップの道が残されている。現状朝倉の目から見えているドラはこのを含めて２枚だけ。他に見えていないドラ５枚のうち４枚を内川が固めていた場合、このチーでハネマンに手が届く事になる。確かにその可能性も充分考慮に値する状況だ。

それにしても勝利者インタビューで開口一番この局に触れたのは本当に朝倉らしい。朝倉はその持ち前の反省力で今まで数々の失敗を自分の雀力に昇華してきた。

昨年度のMリーグでの失敗と反省をテーマに、一冊戦術本を書いてしまったほどだ。きっと今日の反省を基に、更なる強さを身に着けて我々を魅せてくれる事になるだろう。

１回戦こそ大きなラスを引かされたパイレーツだったが、朝倉のトップによって一日としては少ないマイナスで踏みとどまったことは大きな意味を持ってくるだろう。次はその踏みとどめた足を前に出せるかだ。

U-next Pirates　－１０７．３ポイント　現在７位

海賊たちの航海の行く末はいかに。