会心のアガりにもこの険しい表情。
そう、滝沢の所属する風林火山は現在7位。
これ以上マイナスを積み重ねるわけにはいかない。マンガンのアガリくらいで安心することなどできないのだ。
思い返してみると、今期の滝沢は昨期と比べてやや教科書通りの打牌選択が多かったように感じる。
ポイントがなかなか伸びないのはそのあたりに原因があるのかもしれない。
残り試合も少なくなってきているが、「バーリトゥード」に徹することができれば、まだまだ浮上のチャンスはあるだろう。
滝沢はこの後持ち点を4万点台まで増やすも、ラス親の岡田にまくられ2着転落。
さらには朝倉にまでハネマンツモ条件を満たされて3着まで落ちてしまった。
30400点持ちの3着―
不完全燃焼この上ないが、今の風林火山を象徴するような半荘だった。
あと一歩が、遠い。
風林火山 滝沢和典
3位 -9.6pt
③これぞ朝倉康心の真骨頂‼︎
驚異の形式テンパイ‼︎
朝倉といえば、猛者の集まるMリーグの中でも、特に読みが鋭い選手だ。
東1局、試合開始からまだ5分と経っていなかったが、朝倉のギアはすでにトップに入っていた。
東1局
まずは滝沢が仕掛ける。
2枚目のをポンして打
と全て手出しで何か狙っていそうな捨て牌にみえる。
仕掛けを受けた朝倉。
音速―いや高速でドラのをツモ切り。
いくら親とはいえ、自身の手は愚形、ドラ無し、リャンシャンテン、の三重苦。
この手からドラを打ち出す選手はほとんどいないのではないだろうか。
もちろんただ無茶苦茶切っているわけではなく、朝倉なりの読みがあってのことだ。
もしドラがトイツならは1枚目を鳴いていそうだというのが大きいだろうか。
「滝沢さん、鳴けるもんなら鳴いてみてくださいよ」
まるでそう言っているかのようなドラ切りだ。
滝沢はカンをチーしてテンパイ。
待ち。
アガリは時間の問題かと思われた。
朝倉はを引いて滝沢の現物の切り。
素直にイーシャンテンに受ける。
巡目は進んで、朝倉をツモ。
滝沢はとをツモ切っており、ますますテンパイしているようにみえる。
を切れば放銃というピンチだったが、ここは切り。
うまく岡田の切ったに合わせることができた。
今度は岡田がをチー。
を切って待ちのテンパイを入れる。
二人の仕掛けに挟まれた朝倉。
をツモって何を切る?
自然にいくならかだ。
そしてそれは滝沢と岡田の当たり牌。
絶体絶命に思われたが、朝倉はで放銃回避だ!
滝沢の仕掛けは打点があるならホンイツが濃厚。
朝倉の目からが4枚見えており、が通っているためピンズのリャンメン待ちはしか残っていない。
というわけでは切れない。
岡田の仕掛けはまだはっきりとは分からないが、テンパイだとすると最後の手出しの周りは危険だろう。
自分の手にを勝負する価値が無いという判断をした。
その後もとには触れることなく巡目が過ぎていく。