多井隆晴に隙はなし!
全てを見通した
鉄壁のロン牌ビタ止め
文・東川亮【木曜担当ライター】2021年1月21日
これでチームポイントを500の大台に乗せた。
まさに一人勝ちといった状況だが、この流れの中でしばらく勝利から遠ざかっている男がいた。
多井隆晴である。
昨年末から4戦連続2着と着実にポイントを下支えしているが、勝利となると11/26までさかのぼる。
チームがポイントを持っているときは「2着でいい」と公言してはいるものの、勝利を求めることに変わりはない。
そんなエースが、満を持してこの日の第2回戦に登場した。
第2回戦
振り返れば、東1局がこの試合の行方を決めたと言っていいかもしれない。
この局は、園田・萩原の二人が1巡目でイーシャンテンという、早々のぶつかり合いが予想される展開となった。
園田は5巡目にテンパイするが、これを取らず。
巡目に余裕があり、愚形で打点もないテンパイに価値を感じないということだろう。
しかし、テンパイ一番乗りは順調にツモが伸びた多井。
待ちを選べたが、待ちのリーチを打った。
待ちリーチはドラでのアガリで高打点が見えるが、他者からドラが簡単に打ち出されるとは思えない上、既にが2枚切れ。
また、自身がを暗刻にしていることから、押し返してくる相手にはドラがトイツ以上になっていることが推測される。
そんな相手と薄い待ちで戦うのではなく、タンヤオで打点が安定し、アガリも期待できるほうで勝負しようということだろう。
その後、萩原がカン待ち、遅れを取っていた滝沢も待ちでリーチ。
3軒リーチのぶつかり合いとなったが、ここは多井が滝沢からを仕留め、裏ドラを乗せて8000点の出アガリとした。
東4局。
多井が、3巡目にをポン。
普通の鳴きのように見えるが、これは他者から見ればかなりの危険信号である。
常に守備を考えて打つ多井がこの巡目で1枚目のを鳴くというのは、早いか高い可能性が高く、両方を満たした手ということもあり得る。
しかもトップ目なのだからなおさらだ。
実際に今回はドラがトイツで速度もまずまずという形だった。
そんな多井を警戒してか、滝沢はぽつんと浮いたドラが切れない。
園田もここから直前に滝沢が切った切りで守備を意識、高くなったときだけ勝負しようという腹か。
そんな他者を尻目に、多井がツモアガって1000-2000。
この試合3度目のアガリで、着々と点差を広げる。
そして、多井のらしさが存分に発揮されたのが南1局。
2巡目に園田がこの形からを打ち、受けを固定する。
後に待ち牌となった際、相手の読みをずらすための先切りだ。
そして、7巡目に園田がリーチ。
三色にはならなかったものの思惑通り待ちが残ったテンパイで、本人としては好感触だっただろう。
これに対し、多井は赤赤ドラで高打点が見える形。
攻めるならくらい押してもいいように思える。