神様が『勝ってもいい』と言ってくれた気がした EX風林火山で、2連覇を成し遂げたい
EX風林火山ドラフト会議
指名選手オーディション:優勝
松ヶ瀬隆弥(RMU)
Twitter:https://twitter.com/akayakokushim
若手からタイトルホルダーまで、団体を問わずさまざまな麻雀プロが参加したオーディション。激戦を勝ち抜いて優勝を果たしたのは、RMU生え抜きのトッププロ、松ヶ瀬隆弥だった。勝負どころで決めた二度の四暗刻はもちろん、随所に見せた巧みな押し引き、決定力を含め、自身がMリーガーに引けを取らない力を持っていることを、戦いの中でこれ以上ない形で証明した。そして、彼が示したのは後に続く若手への道でもある。団体を、後輩を、そして応援してくれるファンを思う好漢は、今は静かに、やがて来るMリーグでの戦いに思いを馳せる。
-オーディション優勝、おめでとうございます。率直に今のお気持ちを。
とりあえず、ホッとはしています。いろいろな人に応援してもらっていましたし、ここまで来るのに170人近い中から最後に4人が残って、みんな勝ちたかったわけじゃないですか。最後に勝てるのは1人だけなので、そこには参加した全員の思いみたいなのものもあるんですよね、きっと。だから今後、言い過ぎかもしれないですけど、僕がおかしな麻雀とかをしていたらそういう人たちが報われない、そういう気持ちもあります。そうしないためにも、これからも頑張らないといけないな、という気持ちです。
-うれしさと共に、責任感みたいなものが生まれてきている。
うれしいのはやっぱりうれしいんですよ。だけど自分一人だけで出て、ファン投票とかがなく、誰にも知らせていないとかだったらそういうのはないんですけど、今回は団体からも推薦のポイントをもらっていますし、RMUの250人のみんなの気持ちというのも感じていました。多井(隆晴)さんに続くMリーガーというのはみんな待ち望んでいたわけですから、その点でやっぱり、うれしさもあり、ホッとしたのもあり・・・まあ、ホッとした方が大きいですかね。
-勝負どころで2度の四暗刻を決めて劣勢を跳ね返したのは本当にセンセーショナルでした。持っている、と言ってもいいんじゃないですか。
できすぎですけどね。今回に関しては予選も含めて、神様がいるんだったら「勝ってもいいよ」と言ってくれているような気がしました。
-以前のインタビューでは、RMUの若手に刺激を与えたい、ということをおっしゃっていて、その意味でも最高の結果を出されました。
RMUはどうしても、一番新しい団体というのもあって、Mリーガーになったのも多井さん一人でしたし、多井さんも日本プロ麻雀連盟を辞めてRMUを作っているわけですから、RMUでプロになった生え抜きの選手がまだ外で全然活躍していないんですよね。名前が売れている選手はそういう人たち(他団体からRMU入り)というのがありました。僕はRMUからスタートしているので、RMUから入った若い子たちに、「ウチの団体で頑張っていればこうやっていろいろなことができるし、麻雀も強くなってMリーグも目指せるようになる」と示せたことは、感慨深いものがあります。先導しているわけではないですけど、やっぱり引っ張っていってあげたいですよね、若い子たちは。
-若手の筆頭になるのが、今回決勝で戦った小沼翔プロではないかと思います。
彼はまだ若いですし、プロ歴も浅いですから、これからなんですよ。今回のことは一つのいい経験なわけじゃないですか。普通の麻雀プロがなかなかできない経験を、プロ歴2年そこそこで決勝まで来て、いろいろしたのは彼の大きな財産になると思うので、その点ではすごく良かったんじゃないかと思います。そういう若い子たちがいっぱいいるので、引っ張っていけるんだったら、やっぱり引っ張っていってあげたいですよね。
-Mリーグの舞台で戦えることが決まりました。Mリーグの見え方なども変わってくるのでは。
今までは外から見ていた一視聴者だったわけじゃないですか。それが今度はプレーヤー側にまわるわけなので、いろいろ新鮮なこともあるでしょうし、ひと言で言うと楽しみですよね。
-Mリーグで戦う渋谷ABEMASには、RMU代表の多井隆晴選手がいらっしゃいます。
今のところ、試合をするのが一番楽しみですね。普段からリーグ戦とかで戦ってはいるんですけど、Mリーグの舞台で戦うのはまた違うと思います。RMUの多井隆晴じゃなくて渋谷ABEMASの多井隆晴、彼を感じてみたいですよね、どのぐらい違うのかを。
-渋谷ABEMASの多井隆晴にEX風林火山の松ヶ瀬隆弥が挑むということで、ファンの方の声も今まで以上に大きくなると思います。
ファンの方も、そこは楽しみなんじゃないですかね。Mリーグが始まってからの一番の楽しみはそれですね。どのくらい戦えるのか、というのもあるし。
-勝てる自信もある。
やっぱり、簡単には負けられないというのはあります。自信半分、残り半分は・・・半々くらいでなにかあるんだろうけど、自信は半分くらいですかね。
-新シーズン、間違いなく最注目の選手になると思います。改めて、ファンの方へのメッセージをいただけますか。
今回のオーディションに関しては、2次予選の通過と準決勝、決勝で、全部戦い方が違いました。いろいろ、僕の麻雀もその都度で合わせて変化していったはずです。Mリーグのレギュラーシーズンでどういう麻雀を打つのか、というのは見てほしいです。
前年度優勝チームに入るということで、僕が入って負けるのはすごくいやなので、お約束できるかは分からないですけど、2連覇をぜひとも成し遂げたいと思います。それをできた暁には、やっとチームに貢献できて、チームの一員としてやっていく自信がつくのではないかと思っているので、それまでゆっくり、温かく見守ってほしいですね。
さいたま市在住のフリーライター・麻雀ファン。2023年10月より株式会社竹書房所属。東京・飯田橋にあるセット雀荘「麻雀ロン」のオーナーである梶本琢程氏(麻雀解説者・Mリーグ審判)との縁をきっかけに、2019年から麻雀関連原稿の執筆を開始。「キンマweb」「近代麻雀」ではMリーグや麻雀最強戦の観戦記、取材・インタビュー記事などを多数手掛けている。渋谷ABEMAS・多井隆晴選手「必勝!麻雀実戦対局問題集」「麻雀無敗の手筋」「無敵の麻雀」、TEAM雷電・黒沢咲選手・U-NEXT Piratesの4選手の書籍構成やMリーグ公式ガイドブックの執筆協力など、多岐にわたって活動中。