お正月ですが
自殺の話
「♪都会では自殺する若者が増えている、けさ来た新聞の片すみに書いていた~」
井上陽水さんの「傘が無い」という30年以上前の作品で、今でも共感を受ける若者がたくさんいる名曲です。
当時から経済的にどんどん豊かになって行きましたが、なぜか自殺も増えていきました。
「ここ数年で本気で死にたいと思ったことがありますか?」
先日のアンケートで「ある」と答えた人が二割以上で驚きました。
別の統計によると、1年間に自殺で亡くなる方は二万数千人。
一時期は三万人を超えてたことがあるので、少し改善されてるようですがそれでも多い。
今でも若者の死因の一番は、約50%の自殺だそうですが信憑性はどうでしょう?
実際にはもっと多そうですよね。
自殺者の遺族には自殺とは言いたがらない方たちもいるでしょうし、医師や当局もその意図をくむかもしれません。
個人的には十万人近くになるんじゃないかと思っています。
一年間に亡くなる人は130万人くらいなので、比率としてはけっこう多い。
16両編成の新幹線だと1両分が自殺だと思うと恐ろしいです。
古い友人の末井昭さん原作の「素敵なダイナマイト・スキャンダル」が映画化され、試写会に行きました。(公開は3月17日)
末井さんが少年の頃、お母さんは隣の家の若者と不倫の果てに、ダイナマイト心中をしたという、衝撃のエピソードから始まります。
末井さん自身も白夜書房の編集長時代、愛人に自殺未遂されてる。
そんなこともあってか、数年前に「自殺」(講談社エッセイ賞受賞)という単行本を出版。
多くの人の共感を得て、新たに「自殺2」を執筆中です。
出版前というか、執筆中のデータと末井さんの見解をいくつか教えて貰いました。
メディアなどですでに知られている統計も含みます。
「東北に自殺が多いのは寒さや雪のせいで、引きこもりがちになるのが、良くないんじゃないかな」
とか。
「ただし南国の宮崎県は自殺率が高いので、一概に気候のせいだけとは言えないかも」
簡単に因果関係は分からないようです。
「徳島県の山間部の祖谷(いや)温泉は自殺率が高く、海辺の海陽町は低いと聞き取材に行ってきた」
こちらはイメージ通りで、落人伝説のある祖谷で自殺が多いのは、外部とのコミュニケーションが少ないからではないかとのこと。
祖谷は私の故郷に近くて日本三大秘境の一つの集落です。
「一方の海陽町は年寄りが威張ってて元気だった」
コミュニケーションが取れてるということでしょうか。
ライフスタイルが大きな要因になるのは当然ですが、遺伝子的なものはどうでしょう?
「あまり関係ないという研究結果がある」
親戚に自殺者がいると自分もそなるのではないかと心配する人もいるようですが、気にしなくて良いと。
「自殺スパイラルに落ち込まないために、自分の問題を突き詰め過ぎて考えなほうがいい。特に借金など経済的理由で死ぬのはバカらしい。私は三億円くらい借金があったけど、自殺なんて考えたこともない。そんなの踏み倒せばいいんですよ」
参考にしましょう。
末井さんの「自殺」は、重いタイトルなのに笑って読めるという声もあり、それで救われた人も多いと思います。
気が楽になった、思い留まったなど。
「末井さん、自殺しそうな人にアドバイスはありますか?」
「無い。説得は難しいので、親身になって話を聞いてあげるしか無いと思う」
ここが難しい所で、自殺が頭から離れない状態になっている時には、話を聞いてくれる人がそばにいない可能性が高そう。
「そういう時はとりあえず寝るのがいいと思う」
鬱回避は薬の前に
ひと工夫してみる
病気やお金の問題で自殺の原因になることが多いようですが、鬱病も危険だと聞きます。
特に鬱状態の時の飲酒は危険度が高まるらしい。
「酒でリラックスすればいいのでは」
私はそう思うんですが、どうやら素人考えみたい。
私も自分で鬱状態だと思ったことは何回かありますが、風呂に入って体を温めたり、無理にでも店に出て麻雀を打ってるとだいたい改善します。
「その程度は鬱じゃないですよ」
と言うのは西原理恵子さん。
「私はもっとひどかったけど、それでも鬱じゃないって、高須先生に言われた。起きて相談に来てるんだから大丈夫」
なるほど。
私が税金問題で落ち込んでいる時に、西原さんにアドバイスされました。
「時間薬が一番効く。効くまで待てばいいだけ」
時間薬なんて初めて聞いたけど、素直に納得してしまいました。
ある国際的な歴史学者の話です。