銀狼の爪痕──
東城りおとSai:再始動の夜
文・小林正和【金曜担当ライター】2025年10月3日
澄んだ秋空の下、少し肌寒さを覚える東京。
そんな僕らを心地よく温めてくれるのは、やっぱりMリーグの熱狂だ。
そして週末といえば、今季から始まった2卓同時開催。
どちらも見たいけれど、片方はどうしても見逃してしまう…。
そんな人のためにも、もう一方の試合をハイライト形式で振り返っていきたい。

第2試合
東家:園田賢(赤坂ドリブンズ)
南家:本田朋広(TEAM RAIDEN / 雷電)
西家:阿久津翔太(KADOKAWAサクラナイツ)
北家:東城りお(BEAST X)
よーいドン!
この試合、幸先よく飛び出したのは園田であった。
東1局
1翻余りが園田らしいと言えばらしい。それにしてもあまりに順調な滑り出しとも言える。
「一体どうした…?」と思わずにはいられないが、その答えのヒントは試合前のXにあった。

「現ナマ…!?」

そう
先日、入籍を報告したばかり。
まるで、卓上からもご祝儀が振り込まれたかのような
“おめでたい”
一撃となったのである。
そして、その流れに乗って“幸せのお裾分け”を受け取ったのが

この舞台にカムバックした“東城りお”であった。
東1局1本場

一戦目でラスを引いたチームメイト・大介の無念を晴らすかのように、サクラナイツ・阿久津から・赤・赤・ドラ8,000は8,300の直撃。
新生BEAST Xキャプテンが見せた鋭い刃は“仇を討つ”一掻きとなったのである。
こうして園田に続き、東城からの爪痕も受けた“飢えた若獅子”。その傷は、更に深いものとなっていく。

最初の親番をキッカケに、少しでも傷を癒したい所…
東3局・2巡目

ツモにより、早くもターツ・オーバーとなった阿久津。孤立牌の
に手が掛かるかと思われたが

彼が選んだのは、意外にものトイツであった。
いわゆる“スペース”を空ける一打である。
こうしておくと、次巡以降に引くであろうタンヤオ牌を、タンピン移行の雀頭候補として活かすことができたり

ツモや
の場合は、三色という手役の付加価値まで狙えるのだ。
瞬間の痛い裏目は、たった2枚のだけ。
まだシャンテン数のある序盤では、選択肢の広がる十分に有効な手法である。
だがしかし、そう悠長に選んでる時間はなかった。
