現・旧Mリーガーを翻弄する、
多喜田翔吾の妙義
【B卓】担当記者:飯盛裕美子 2025年12月13日(土)
待ちに待った麻雀最強戦2025ファイナル1st Stage
バチバチにぶつかりあったB卓、現Mリーガーの竹内・松本、元Mリーガーの藤崎を、29歳・若手超有望株の多喜田が翻弄する。
⬛︎読ませてなんぼ、多喜田の技ありの仕掛け
東1局2本場ドラ
、西家の多喜田は3巡目に
チーから発進。
の対子があり、ホンイツかチャンタ、あるいは索子の一気通貫、色々なルートが見える仕掛けだ。
上家の松本はドラが
でありながら、捨て牌は別の色に偏っている可能性が高そうで、実際に萬子のホンイツ進行だ。
チーした多喜田は打
、その
を松本がポン。多喜田はツモ
、打
。松本に鳴かれる可能性のある萬子のメンツを落としてまでホンイツに行くのはナンセンス。ホンイツルートが無くなった。
さらに松本から打たれた
を789でチー、打
。
・
をポンすれば
単騎の役牌、チャンタ
・
、
引きで一気通貫
この局は全員の配牌が良くない中で、積極的に仕掛けた多喜田がスピードで完全に上回った。
手が進んだ松本から
が放たれ、打
で
単騎のテンパイ。
この仕掛けと河を見せられた他家は、多喜田の手牌をどう見るか。
まずは3副露でテンパイが濃厚。
最悪なのは、
、ホンイツ、ドラもしくは役牌の絡む満貫クラス。2人抜け一発勝負の最強戦では絶対に放銃したくない。
例えば![]()
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ペン
チー、カン
チー、
ポン というようなテンパイはないとは言えないが、
がポンできなければ上がれないのにここまで積極的に仕掛けるのは大胆すぎる。
役牌ドラ1、
役牌チャンタの3900等もあり、中打点〜高打点まで可能性が幅広く、他家は勝負手でない限り押しづらい状況になってしまったのだ。
しかし、実際には多喜田の手は2000点のテンパイなのである。
この後、多喜田が
をツモ切るが松本はこれをポンしない。
テンパイ濃厚な多喜田に対し、いくらチンイツの満貫テンパイとは言え自分でポンしているカン
待ちではこの
を押す価値がないと判断した。これは最悪のケースを回避するための松本の丁寧な判断と言えるが、多喜田からすれば大成功といったところか。
この後多喜田は
をツモり、
を手放す。
この手出しを見た竹内が何かを察したような表情をする。
単騎テンパイの待ち変えに見えるが、依然としてホンイツの可能性は否定できない。
既に対応してしまった竹内の手牌、何かを感じ取ったとしてもここから巻き返すことは不可能だ。藤崎も同じく対応し、オリている。
をポンしなかった松本が
を掴んだが、チャンタを否定できないこと、自分のあがりが厳しいということもあり
を切ってオリることを選択。
多喜田は2000点のテンパイで、他家を全員おろすことに成功したのである。
その後ツモ
、ドラである。これは打点上昇するので
と入れ替える。
捨て牌3段目にしてホンイツの可能性は完全に否定されたが時既に遅し。
多喜田の仕掛けに全員が翻弄された形である。
この
単騎をツモり、1000-2000は1200-2200のアガリ。他家の手を止め、自分の手牌を最高打点に仕上げあがり切るという最高の結果となった。
この最終形を想定して3巡目の
チー発進できるのは、積み上げられた経験値や深い研究の結果であることが推察できる。なぜならネット麻雀「天鳳」を月に100本以上打つという記録を61ヶ月継続されているだけでなく、麻雀AI・NAGAの戦術本を執筆されているからである。
トップを取ったのは多喜田、東2局に松本とのリーチ対決を制してリードを作った藤崎がポイントを守り切って2位通過を果たした。
一発勝負で運の要素もかなりある最強戦。
この積み重ねをしっかりとアウトプットできる多喜田の麻雀は、目の肥えた麻雀ファンを魅了していくに違いない。『麻雀AI・NAGAの鉄戦術』を読んで多喜田の麻雀を予習し、明日の2nd Stageをもっと楽しもう。

飯盛裕美子(いいもり・ゆみこ)1989年6月7日生まれ(平成元年)広島県出身。
創形美術専門学校卒業後、アニメーション制作会社、雀荘店員、グラフィックデザイン事務所、建築会社等を経て、現在は赤坂麻雀ラウンジぷろすにマネージャーとして従事。その他麻雀大会や麻雀イベントの運営、持ち込み企画など精力的に活動している。















