熱論!Mリーグ【Mon】
卓上だけじゃない!
園田が見ている「景色」
文・梶谷悠介【月曜担当ライター】2018年12月17日
いきなり内輪の話で申し訳ないが少し聞いてもらいたい。
先日私の所属団体でもある最高位戦で総会が行われた。
そこでいくつかの議題について話し合われたわけだが、その中にリーグ戦の改定案があった。
詳しい内容は避けるが、当面現行の制度より下位リーグの一部からの昇級に時間を要するというもので、これに対し反対意見が持ち上がったのは当然といえた。
かくいう自分もその下位リーグに位置する立場なので、(これは少し厳しくなったかもな…)という思いでいたが、当然提案内容にもそうするだけの根拠がある。入会二年目の自分には一概にどちらが妥当かと判断することはできないでいた。
そんな中ある人の発言に私は驚いた。
下位リーグの人たちのチャンスを減らさないようにして欲しいと語るその人は園田賢プロだった。
団体最上位のAリーグに所属する園田にとっては縁遠い話のはずである。改定案に変更されたとしてもAリーグの降級数に影響があるわけではない。
だが下位リーグ者や新人の気持ちが痛いほどわかるのだろう。違う立場というものを理解しているがゆえの発言だった。
(もしかしたら麻雀もこんな感じで考えているのかもな)
園田の麻雀の秘密がここにあるような気がした。園田の打ち筋は一見してトリッキーさを感じる。だがよくよく考えてみたらそれは実に広い視点から考えられた結果だということがわかる。園田は遠い仕掛けをして相手の打ち方に制限を加えたり、読みを多用したりするが、それを支えるのは相手の立場ならどうするかということへの理解力だ。
今回はそんな園田の思考を探ってみようと思う。
第2試合
起家 園田賢(ドリブンズ)
南家 松本吉弘(ABEMAS)
西家 石橋伸洋(Pirates)
北家 前原雄大(麻雀格闘俱楽部)
東1局0本場
親の園田。のテンパイでが高め234の三色の形。勢いよくリーチと言ってしまいそうだが、ここはダマを選択した。とが3枚ずつ見えていて使いにくいを拾いたい。
しかし意に反してここはで平和のみの出アガりとなる。
東1局1本場
前原から先制リーチが入る。
これに対してイーシャンテンの園田、は3枚見えだが無筋のをプッシュした。
前原のリーチ宣言牌は。ドラがでの形を引っ張らないだろうという読みだ。または3枚見えているのでからを切ったシャンポン待ちにも当たらない。
南1局1本場
を残しての先切りをする。前原がをで両面チーしていて当たってもおかしくなさそうだが、先に危険牌を処理した格好だ。
根拠はその前の前原の打牌にありそう。
ここで小考して切り。前原が両面で鳴いていることもあってそれなりに手は早そうだが、もしもテンパイしていたらこの1枚切れを切るのにためらいはしなかっただろう。その間を見逃さなかった。
実際に前原には必要牌だった。アガりには結びつかなかったがギリギリで当たり牌を処理する読みが冴え渡った1局だった。
だが次局は読みが裏目に出ることになる。
南2局0本場
この手から打とした。
対面の石橋が早々にをポンして萬子のホンイツに向かっている。と残すと後半に手が伸びたときにかのどちらかを余らせてしまう。それならば先に形を固定して萬子を切らなくてもテンパイできるルートを作ってしまおうという作戦だ。一瞬との2対子を作ってしまうが、は両面に変化しやすい。
これが良い形で手が伸びてきたがを掴んでしまう。石橋がを手出ししたばかりでこれは切れない。
2巡後、イーシャンテンになった段階でなんとを切った。
石橋が萬子を余らせているがこれはどのような思考に基づくものなのだろうか。