大御所を破る
宮内の巧みな鳴きと、
香川の完璧な捨て牌読み
【B卓】担当記者:危険な鬼太郎 2020年10月4日(日)
アマチュアの選手の中にもプロ以上の実力を持っている選手が何人もいるが、放送対局では実力以上の結果を残せない人が多い。
それは恐らく、緊張感からくる焦りやミスをついついしてしまうからだ。大きな舞台を何度経験している人も、初めての最強戦で凄く緊張してしまった!という人も多い。
今回最強戦初出場の棋士、香川愛生と、小説家の宮内悠介の表情を見るとよくわかる。
両者とも表情が硬く、笑顔が無い。いっぱいいっぱいなのだろう。
対して麻雀界の大御所である片山まさゆきと福本伸行は、
福本は笑顔でガッツボーズをしながら入場し、片山に至ってはMリーガーの村上淳の真似をして入場したりと完全にリラックスしている。
福本はこの最強戦はなんども出ておりファイナルに残ったこともあるし、片山に至っては初代最強位。今更緊張なんてしないのだろう。
初出場とベテラン二人同士の対決となった。
東1局 ドラ
親番の宮内の選択が面白い。
打としてマンズのリャンメンを目指しての好形リャンメンリーチを目指す人もいそうだが、ここは鳴きを優先した手組をする。
仮に打とした場合でもダブはポンするだろうが、その後の手牌の安定度が全く違う。宮内の場合は、の好形イーシャンテンだが、打だととのくっつきになってしまい、最悪は愚形聴牌もありうる。
しかし
宮内は自身でダブを暗刻にして聴牌をする事が出来たが、一人聴牌で終わった。福本の3副露で他家がきちんと降りきってしまったのが痛かったか。
東1局1本場 ドラ
宮内が柔軟性のある鳴きを魅せてくる。をポン!
打でとのイーシャンテンに取るが、この手牌は発を鳴く前はとのイーシャンテンの手牌。
一発裏ドラ好きの人は鳴かない人も多そうだが宮内は迷うことなく鳴いた。
「この手牌はメンゼンで仕上がっても高くないし、鳴けばマンズは四面張になる。勝負は次の2本場から」
という思考だろうか。
そして次の2本場では
巧みに仕掛けて・トイトイ・ドラ3の6000は6200オールのツモアガリ!
すべての局で鳴きを使って加点に成功した宮内。
二人勝ち抜けのこの予選では、この6000オールはあまりにも大きすぎる。
東1局 4本場 ドラ
ようやく香川にも手が入ってくる。
が自分の目から3枚見えで絶好に見えるし、タンピン一盃口変化が容易に見込める。タンヤオが確定するのも地味に嬉しい所。
しかし香川は、
打。
一盃口が消え、タンヤオも消える可能性がある選択をした。皆さんがどう思ったかは分からないが、私は香川には場状が良く見えているなと感じた。
下家の福本と対面の宮内は1枚もマンズを切っておらず、場にマンズが異常に高い。特に下家の福本に至っては字牌すら切っておらず、マンズのホンイツが匂う。
が自分の目から4枚見えていて絶好に見えるがそれは見せかけ。実際に福本の手牌はこうだった。
こそ持っていなかったがマンズがゴッソリ。この場においてはよりもの方が優秀だと香川は読んだ。
香川のも実は上家の片山がソウズのホンイツで嫌な待ちだったが、香川はを引き入れて最高のでの三色リーチへと踏み切った。
上家の片山はソウズのホンイツで、下家の福本はマンズのホンイツ。そして対面の宮内は序盤にとを連打しておりピンズの上は持っていなさそうだ。
これほどの場状が良い場面も珍しい。
片山がをポン!
なんとかソウズののホンイツで追いつく物の、
福本がメンホンイーシャンでの放銃。メンホンイーシャンテンでは流石に止めきれない。