熱論!21人のMリーガー
滝沢和典・EX風林火山
正念場でモードチェンジする
「滝沢のスイッチ」
文・梶谷悠介【EX風林火山担当ライター】
滝沢和典
このイケメンのデビュー戦は苦いものとなった。
親の第一打の前にツモり忘れ、痛恨の少牌でアガり放棄となる。
確かに緊張していたこともあるだろう、だがそれよりも普段の慣れが原因であると思う。
既存の競技麻雀はサイコロを振って配牌を取る。親はちょんちょんを取るので配牌を見た段階では第1打を選ぶしかない。配牌を見てさらに第1ツモをするMリーグの自動配牌とは違う。最近雷電の黒沢も同様に親番で少牌してしまったが、長年プロをやっていてどうしても体に染み付いた癖が出てしまった格好だ。
ちなみに私も放送対局で少牌してしまったことがある。私の場合は逆で、自動配牌に慣れてしまい親のちょんちょんをせずに1枚だけツモって切ってしまった。なので気持ちはわかる。あれから1年以上経った今でも少牌に気をつけてと周りに言われる始末だ。プロは言い訳できない。
手痛いミスを犯してしまった滝沢だが、すぐに挽回のチャンスが訪れる。
同半荘の南1局、をポンしており大三元のテンパイ。は山に生きていたが惜しくもアガれず。この局は松本のアガりとなった。
悔しいという表情でもない。起こったことをそのまま真摯に受け止めた、そんな様子に見える。
デビュー戦はラスに終わってしまったが、少牌&役満テンパイはファンの記憶に残る出来事となった。
しかしさすがの修正力を見せ、つづく10月12日の2戦目にトップをもぎ取った滝沢は段々と調子を上げ始める。
10月16日
早い瀬戸熊の仕掛けに役牌を抑え、チートイツでテンパイすると
8000オールを見事決めそのまま連勝を決めてしまった。
出だしこそ躓いたが、その後は滝沢らしい打ちまわしを見せる。
ここから345の三色に絞った打。場況的にやや安全なを残して危険なを先に処理した格好だ。
放銃率はここまで個人2位の6.64%。だが決して守ってばかりではない。
上家の寿人からリーチが入った一発目に何を切るか。
現物はがあるが滝沢はを切った。
無筋だが寿人はを1打目に切っておりカンはなさそう。2枚ある牌を切って時間を稼ぎつつ押し返す構えを残した1打だ。
このように攻守のバランスの取れた麻雀を見せる滝沢だが、勝負所とみれば思い切った攻めに転じることもある。
アガりトップの場面で切り。
第1打がドラので、どう見ても滝沢の手は高くない。2着目親の石橋からリーチが入った場面で、安手をアピールして上家の魚谷に差し込みを期待している。
これは空振りに終わって石橋へ放銃となり2着目に転落したものの次局
、、をポン、3副露してまだイーシャンテンだ。
繰り返すが放銃率は個人2位。だがアガりの恩恵が大きい場面では中途半端なことはしない。
そして跳満でトップを決めた。
守備型の中に光る攻めこそが滝沢の魅力だ。ぜひ後半戦も滝沢のスイッチが入った瞬間に注目してもらいたい。
【タッキークイズ】
開幕からなかなか裏ドラが乗らなかった滝沢だが、初めて乗ったのは自身何試合目だったでしょう。
①12試合目②13試合面目
③15試合目④17試合目
【正解】
③15試合目
※12月6日のことで、開幕から2ヶ月経って初めて裏ドラが乗っていた。
滝沢の裏ドラをめくる瞬間にはファンは祈りを届けよう!