麻雀最強戦2019
ファイナル
欲して止まない
最強位のために目先の欲を
見切ったレジェンド金子正輝
【B卓】担当記者:東川亮 2019年12月14日(土)
最強戦ファイナル、B卓の組み合わせはMリーガー2名にアマチュアの雄、そして麻雀界の大ベテランという組み合わせとなった。通常ではまず対戦することのない選手たちが一堂に会するというのは、麻雀最強戦の魅力と言えるだろう。
加藤哲郎。
元プロ野球選手で、著名人代表決定戦を制し、この舞台に勝ち上がってきた。野球選手としてはあと一歩届かなかった日本一を、麻雀最強戦でつかめるか。
白鳥翔。
男子プロ代表決定戦を制してこの舞台にたどり着いたMリーガーの一人だ。2シーズン目となるMリーグでは、12/14時点で個人成績トップという実績を残している。
トッププロを集めて行われたRTDトーナメントを圧勝して最強戦ファイナルの出場権を得た。「魔王」とまで称される脅威の攻めっぷりを期待したい。
金子正輝。
男子プロ代表決定戦で劇的な勝ち上がりを決めて最強戦ファイナルに勝ち進んだレジェンドだ。初めてとなる最強戦ファイナルの舞台で、歴戦の打ち筋を見せられるか。
東家:加藤哲郎
南家:佐々木寿人
西家:金子正輝
北家:白鳥翔
B卓では、序盤から大物手が飛び交う展開となった。東1局はまず佐々木がリーチ。
これに「寿人のリーチなんで無視しようと思っていた」という加藤がカンで追っかけリーチをかける。愚形とはドラドラの手牌、決まればこの試合を有利に進められる。
決着は加藤のツモ。4000オールでまずは加藤が飛び出した。
加藤は次局も白鳥からを打ち取り。白鳥はトイツの形から1枚目をスルーして自力で重ね、手応え十分のリーチを打ったが、うまく立ち回った加藤がさばき、加藤のペースで対局が進むかに見えた
しかし、ここから「牌流定石」金子が動き出す。東1局2本場ではドラドラのチートイツ待ちをリーチし、一発でツモって3000-6000は3200-6200。
さらに次局、金子はチャンタ系の配牌をしっかり育ててでリーチを打つ。チャンタになる高目は3枚切れだが、高目安目の差が大きい牌姿だけに、逆にリーチを後押ししたか。
ここに飛び込んでしまったのが佐々木。カンがリャンメンに変化し、高目のが押し出されてしまった。佐々木は親も落とされ、序盤にして厳しい状況へ追い込まれてしまう。
連続のハネ満で気分良く親番を迎えた金子は、ここでもピンフドラドラをリーチしてツモり、4000オール。次局こそ2600は2900の放銃にまわったものの、大きなリードを手にした。
東4局、白鳥の親番。ここまでほとんど手が出なかった白鳥にとっては、大きな加点チャンスとなる局面だ。金子、加藤が三色をテンパイする中、白鳥は終盤にテンパイ。巡目が少ないとは言え、ここはリーチの一手だ。これを一発でツモ、そして裏を1枚乗せて4000オールし、戦線復帰に成功。
さらに次局、白鳥はカンで即リーチを打ち、ツモると裏ドラが暗刻の。6000オールで一気に金子へと肉薄した。
この局は7巡目のターツ選択で、場に高いソーズを嫌うカンターツ払いの判断が良かった。本人的にも好感触だったというこのアガリで、白鳥が勝利への道筋をつかんだようにも見えた。
白鳥は東4局3本場でも畳みかける。12巡目で、・のシャンポン待ちのテンパイ。イーペーコーができているのででも出アガリができる形だ。
さすがにドラのは誰も打たないが、
最後のを金子がつかんでしまった。手の中には明らかに不要だが、放銃すれば白鳥との点差が逆転する。
しかし金子はを抑え込んだ。しかもわざわざ手牌の真ん中に格納。絶対に切らないという意志が見える。
そして流局。金子は白鳥の手牌を見て、少しうなずいた。