以前、父が心臓の大手術をするのに、入院したことがあります。
高齢のこともあり、私と姉はずいぶん心配したんですが、本人はまったく平気でした。
「もし失敗して死んだら、家に帰らずにそのまま葬儀場に行きゃあええわ」
と笑ってました。
手術前の短い入院中にも、たくさんの知り合いができて、良く談笑してました。
いよいよ手術の当日
「ちょっくらステンレスのまな板に乗って来る。あんたも手術は来週やろ、頑張りや」
他の患者さんを励ましていました。
父は、子供の頃の貧しい時代と、戦争の悲惨さも経験しているので「今の生活なら上等よ」と不満は無いようです。
戦争末期には東京にいて、空襲で焼死した川に浮かぶ遺体を回収したそうです。
「あれなむごかった。材木を集めるように、竹竿の鳶口を死体に打ち込んで、船に引き上げた。
黒焦げの死体の首に打ち込んだら頭が取れたぞ」
ちなみに、父は若い頃に信州の伊那谷で、材木の伐採と運搬の仕事をしていたこともあるので、
鳶口を使うのは上手だったそうです。
せっかくの腕が遺体の回収とは残念だったでしょうね。
昔の人は長時間労働だったと書きましたが、今の時代でも、職場の責任者や自営業者たちは、似たようなものかもしれません。
コンビニや飲食店や麻雀荘の店長の長時間労働は良く耳にします。
知り合いの自営業の八百屋さんは、早朝の仕入れから夜の閉店時間まで長く働いてます。
店じまいしてから、仕入れ時間まではゆっくり寝る時間も無いほどですが、昼寝をするのだと聞きました。
そういう私も、年齢の割にはけっこうな長時間労働です。でも、主な仕事の内容が、麻雀を打つ、
温泉に行く、原稿を書くなので、仕事のように見えないかもしれません。
「親方は、将来リタイヤしたら何をするんでか?」
「好きな麻雀を打って、たまには温泉でも行きたい」
実態はけっこう大変なんですけどね。
(文:山崎一夫/イラスト:西原理恵子■初出「近代麻雀」2014年6月15日号)
●西原理恵子公式HP「鳥頭の城」⇒ http://www.toriatama.net/
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