その次の手番、

を引いて打
。345の三色は深追いせずに、スリムに。

次に、と
を入れ替え。
ここで、他家に動きが入る。

親番の多井が、瀬戸熊の切ったを
でチー。
を使ったアガリを目指す。
次に近藤が持ってきたのは、

だ。これはどうする…

ツモ切った!脂っこい真ん中の牌であり、切り遅れると危険だ。また、や
のアンコが出来てしまうとピンフがくずれてしまう。ピンフを確定させて打点を上げるとともに、極力「リーチを打たなければならない」状況を避けた攻守兼用の選択だ。待ちをぼかす、下家瀬戸熊が
を2枚並べていることから
に期待が持てる、というのもあるだろう。
近藤の次のツモは、

だ!これでイーシャンテン。
しかし、戦っているのは近藤一人ではない。

ここで瀬戸熊がやや間を取る。

そして、を手出し。ただならぬ気配を感じる。
次巡、

を手から切って、瀬戸熊はリーチに踏み切る。

本日1戦目の黒沢は4着だった。少しでも挽回したいチーム雷電。
このリーチを受けて近藤が持ってきたのは、

が帰ってきた!これで345の三色が再び望めるように!

近藤はをサッと河に並べた。

次の手番で近藤が持ってきたのは、

!テンパイだ!!しかも待ちは三面張!!Mリーグファンの熱狂が聞こえてくるようだ。

だが、近藤は神妙な面持ちで天を仰いでいた。

場を見つめ、丁寧に考えをめぐらせる近藤。
もう一度手牌を見てみよう。

まず思い浮かぶのは、切りリーチだ。
をツモればメンタンピンツモ三色赤ドラ。倍満ツモは劇的な逆転トップ。近藤の持つ黄金の左腕が、牌を横に傾けるのをイメージしたのは私だけではないだろう。
これだけ悩むということは、切りダマも考えられる。
は瀬戸熊の現物だ。ダマにして、沢崎から
で出アガったらハネマン直撃で近藤のトップだ。仮に多井や瀬戸熊から
が出たとしても、ハネマン分の素点をプラスして2着にアガれるのは非常に価値があることだ。
また、多井に鳴かれていて上の画像では確認できないが、瀬戸熊はを切っているため
は中スジになっている。危険度はそこまででもないだろう。

さらに時が経ったのちに近藤が選んだのは、そのどちらでもなかった。

なんと切りダマ!!!
三色を見切った!!!
ではなく
を切った最大の理由としては、①瀬戸熊のリーチ宣言牌の3mが手出しだったことだろう。
瀬戸熊の河






リーチ
3、4巡目にを切っているにもかかわらず、
の手出しを挟んでまで
を持っていたということは、瀬戸熊が
をアンコから1枚切って雀頭にした可能性が相当あると読める。
が全くの不要牌だった場合は、
より前に切られるはずだ。
が1枚だけで持たれていたパターンは考えづらい。
が手牌に関連している場合はほかにも、
から
を1枚外して、
を引いてしまってそのまま切って、テンパイ時に
を切ったパターンがあり得る。ただ
手出しのときに
待ちが読まれないように
を並べることが多いようにも思えるので、ここでは
から切られるパターンよりも、
がアンコであったパターンの方が多いように私には思える。ただ、どちらの場合も考慮には入れたうえで、
が薄いということを近藤は読んでいたのではないだろうか。345の三色が崩れてしまうことが多い、との判断に思える。
また、②瀬戸熊からリーチ棒が出たことで、出アガリの3900は4500でも近藤は2着になれる
のも、三色を消してダマにする理由となるだろう。
①②のことから、「カンチャンなどが否定されていないを切るよりも、確実に通っている
を切る」という決断を近藤は下したのではないだろうか。
さらにここからは「リーチではなくダマにする理由」であるが、③2着目の瀬戸熊がリーチに踏み切ってくるということは、瀬戸熊のリーチはトップになる可能性がある高打点のリーチである可能性が高いということも挙げられる。