女性ファンのリアル

Mリーグなど、麻雀の配信番組が増えたことによって、麻雀プロの女性ファンが増えつつある。彼女たちは麻雀プロのイベントがあれば駆けつけ、プレゼントを渡し、SNSを使って直接間接に応援メッセージを送る。麻雀プロはいまや、ちょっとしたアイドルだ。しかし、ファンの女性同士の確執やトラブルもあるという。麻雀プロのファンの女性たちにいろいろな話を聞いた。

麻雀プロに会いたくて雀荘でバイトをするNさん

東京都在住のNさん(24歳)が麻雀に興味を持ったのは、約3年前の夏だ。アベマTVのアイドル番組を見たくてアプリをダウンロードすると、そのページに麻雀チャンネルのリンクがあったので、軽い気持ちでクリックした。

村上淳プロを見て、かわいい人だなと思いました。何となく面白いと思って、RTDなどを見ているうちにファンになりました。

麻雀は、職場の人にたまにセットに誘われて打つくらいでしたが、都内のノーレートのフリー雀荘のゲストに村上さんが来ることを知り、フリーデビューしました。『ファンです。イベントに行きます』ということはツイッターでも発信してました」

ノーレートフリーで村上プロに初めて会ったNさんは、同卓のチャンスがあった。

「私と同卓のとき、村上さんが役満を目指していたのがわかって、アマチュア相手でもちゃんと打ってくれるんだな、と感激しました。その他の同卓者との卓内でのお話は全然理解できず参加できませんでしたが、『憧れの麻雀プロと交流する』という初体験がとても素晴らしくて、もっと大好きになりました」

その後もNさんはいろいろな麻雀配信を見たり、イベントに参加したりして、他の麻雀プロにも興味を持つようになる。

「卓掃をしてみたかったので、都内の禁煙ノーレートの雀荘の従業員募集に応募して採用されました。もともと仕事はフリータ~的なものだったので、今は掛け持ちでやっています。私の勤務先の雀荘は、日替わりでいろいろなゲストを呼び、その中にはMリーガーもいます。いろいろ指導を受けたり、お話したりしているうちに、『憧れの人』が『お父さんみたいな人』になってしまった気もしますが、他のファンよりも距離が近いのはうれしいです」

その距離の近さを、他のファンに嫉妬されることはないのだろうか?

「それは当然あると思います。Mリーグのファンの女性はたくさんいると思いますが、中には私のことを嫌いな人もいます……」

今後の目標や希望はあるのだろうか?

「私は独身ですけど、麻雀プロのだれかと付き合いたいとか、どうこうなりたいというのは思っていません。Mリーグ含め、麻雀の女性ファンが増えるのはいいことだと思っています。特に大好きな村上プロや鈴木たろうプロなどがもっともっとスターになって盛り上がっていくのを、ファンとしても店員としても応援したいですね!」

そう言ってほほ笑むNさんだが、Nさん本人が自覚しているように、彼女を嫌っている人もいる。Kさんはその一人だ。

 

Mリーガーとの結婚を夢見ていたKさん

 

「Nさんのように、『応援してます!頑張ってください!』といった公開ツイートをして、麻雀プロにアプローチしていくタイプの女性は、はっきり言って嫌いです。ゲストを呼ぶ麻雀屋さんで働いているので他の人よりは麻雀のトッププロとの距離が近いのでしょうが、なんか上から目線というか、他の人をけん制してくる態度が鼻持ちならないです」

と、痛烈にNさんを批判するのは、都内の貿易会社で働くKさん(38歳)。

Kさんは2年前に海外勤務から帰国、インターネットを検索しているうちに朝倉康心プロを知る。

「一目見て、私の運命の人だと思いました。どうやったらこの人と出会い、結婚できるだろうと考えましたが、よくわからないのでとにかく麻雀を覚えようと思って、天鳳を始めました。ツイッターは見る専門で、朝倉プロやその周辺のツイートでファンの女性たちが騒いでいるのを毎日見ています。みんな、『頑張ってください!』『イベント参加します』などとアピールしたり、似顔絵を描いたり、いろいろやってますよね。私は、そういうことは一切しないで応援したいと思います」

ツイッターを使った声援や応援は本人にも届きやすく、手軽にできるので多くのファンが実行しているが、どうしてKさんはそれをしようとしなかったのだろうか?

「みんなと同じことをやっていたら、将来私が朝倉プロとお付き合いすることになった時に、抜け駆けになると思ったからです。じつは一度だけ、ゲストの雀荘に行ったことがあるのですが、私自身、肝心の麻雀がお粗末すぎて、ご挨拶もできませんでした。 でも私は単なるファンで終わるつもりはなくて、たった一人の運命の女になりたいので、ツイッターやイベントで他の女性たちに紛れてしまうのは嫌です。だから、コメントもしないし、イベントに行かないと決めました」

しかし、それではお目当てのプロ本人に認識されることも難しいだろう。Kさんは、具体的にはどんな応援をしているのだろうか?

「私は大人で、経済力もあるので、金銭面で応援したいと思っています。とりあえず、朝倉プロの著書はかなりまとめて購入しましたし、電子書籍を知人にすすめたりもしています。

パブリックビューイングや、イベントには行きません。参加費を払うのは全然問題ないんですけど、ダイレクトに朝倉プロの収入に結び付くわけではないし、十把ひとからげに扱われるのは嫌なんです。ましてや、Nさんみたいな、公開ツイートで堂々と応援している人が前に出て、直接お話したり一緒に写真を撮ったりしたら、嫉妬に狂ってしまいそうです。

だから私は、パブリックビューイングやイベントに行かなくても朝倉プロを応援する方法がもっとあればいいと思っています。お金と気持ちがあるのに、存在をアピールできるチャンスが私にもほしいです。

そんなふうに思っていたら、朝倉プロは結婚してしまわれましたね。すごく悲しかったけど、私の思いを届けるのが間に合わなかったんだなと思って諦めて、白鳥翔プロを応援することにしました。そして白鳥プロの本をたくさん買ったんですけど……岡田紗佳プロとの熱愛発覚ということで、また諦めました。

次に応援する人は、まだ決めていません。朝倉プロ以上の人が現れるのかもわかりませんけど、これからMリーグに入ってくるプロは、独身のほうが応援しがいがあります。だって、応援するってことは結局は好きってことで、つまりは付き合いたい、抱かれたいってことなんですよ。SNSやイベントで『みんな仲良く応援しましょう』って態度の人は、その辺をごまかしてるから嫌ですね。私は自分なりの応援の仕方をこれからも考えてやっていきます」

麻雀プロなんて狂気?

このたび、堀慎吾プロがサクラナイツと契約し、Mリーガーになることが決まった。

そして、「堀ガールズ」と呼ばれる女性ファンの存在が一部で知られるようになった。

「堀プロがMリーガーになったのは、よいことだと思います。なぜって、彼は若手なのに見た目が全然かっこよくなくて、麻雀はめっちゃくちゃうまくて強いからです」

元雀荘店員でかつて女流プロを目指したこともあるAさん(45)はこう語る(ちなみに本人は佐々木プロのファン)。

「これまで生きてきた人生のどこかで『麻雀のプロとしてやっていく』と言った時点で、人間としてはどこかヘンなんですよ。そしてそのヘンを貫いてトッププロと呼ばれるところまでのぼりつめたなんて、ホントに狂気の沙汰なんです。

麻雀のトッププロはこんなにすごくて、ファンに見てほしいのはこういうとこなんだってことを、堀プロには発信してほしいし、堀ガールズにはそこを理解してSNSとかで伝えてほしいですね。私はその成り行きを見せてもらいますよ」

このところにわかに増えている麻雀プロの女性ファン。その思いは様々で、だれかが統率して方向付けるには多様化しすぎている。

「麻雀」というもののイメージが明るくなり、優れたコンテンツとして急速に一般的に受け入れられてきたことは間違いない。多くのファンの心をつかみながら、麻雀プロの活躍の場が今後どのように広がっていくのか楽しみだ。

(文・赤松薫)

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