東京大学大学院生で「QuizKnock(クイズノック)」のメンバーでもある須貝駿貴(29)は大の麻雀好き。そしてついに10月4日「麻雀最強戦・著名人超頭脳対決」に出場することになった。もちろん麻雀の公式戦に出場するのは初めて。今回、クイズノックの本社にお邪魔して、最強戦を前にした意気込みなどを伺った。
文・木村由佳
1991年京都府に生まれる。東京大学教養学部入学後、大学院に進学。専門分野は物性物理(超伝導)、好きなものはアイドルとアニメと麻雀。友人が伊沢拓司氏の友人だったことがきっかけで誘われ2017年クイズノックのメンバーになる。
麻雀を覚えたのは高校時代もっぱら仲間とセットです
須貝駿貴さんは、京都府出身。府立西舞鶴高校の特別進学クラスである数理探求科にいるときに麻雀を覚えた。
「クラスメイトの1人がアニメの『咲(さき)』のファンで、その影響で麻雀を知りました。高校は3年間クラス替えがない科でみんな仲が良かったので、教室にトランプみたいな麻雀カードを持ち込んで遊んでいました。
麻雀牌を初めて触ったのは、高校卒業後の春休みですね。大学受験も終わって浪人が確定したのですが、なんとなく暇だった時に友人宅のこたつで打ったのが最初です」
須貝さんは、大阪で一人暮らしをしながら1年浪人した。
「浪人中は月に2回くらい、友人宅に集まって打っていました。平日は1日8時間予備校に行って真面目に勉強してましたから、週末の息抜きという感じですね」
東京大学教養学部に合格してから、麻雀を打つ場はネット麻雀の「天鳳」に変わった。
「メンツはやっぱり高校時代からの友達で、天鳳の個室でスカイプをつないで東南戦を5~6回打っていました。打っている間は完全に雑談をしてるんですけど、半荘が終わったら牌譜検討をしました。『どうしてこれ切ったの?』『この手、どう思う?』なんて言い合って、自分の麻雀のベースはこの時にできたと思います。そのころの仲間とは今でも仲がよくて、連絡を取っていますよ。みんな麻雀に限らず、ゲームが好きなので『あのゲームやった?』なんてたまに情報交換をしています」
東大で知り合った人と打つこともあった。
「ツイッターで『東大生になる人いますか?』と呼び掛けて、反応があったら食堂に集まって、そのメンツでセット雀荘に行ったこともありました。
今、クイズノックの事務所にも麻雀セットがあり、打ち合わせや食事会が終わった後で誰かが『麻雀やろう』と言ったら卓を囲みます。その時はみんなが交替で打てるように東風戦です。こんなふうにいつも仲間と打つので、フリー麻雀は打ったことがありません」
リーチ一発裏ドラが好きリーチでチャンスを狙う
須貝さんは現在、東京大学大学院総合科学研究科の博士課程4年目。その素晴らしい頭脳を駆使して、どのような麻雀を打つのだろうか。
「自分は一発・裏ドラが好きですね。テンパイ即リーが一番強いと思っています。裏を返せば、鳴きはあまり上手にできないんです。役牌が2枚あればすぐにポンするですけど、それ以外の時は、鳴いて役をつけるのが苦手です。さんざん鳴いてタンヤオしかないとか。そうなってしまうよりはメンゼンで進めて、リーチ一発裏ドラのチャンスが多いほうがいいですね。」
Mリーグも見ます。字牌残すのが不思議だな、と
Mリーグの麻雀を見ることもあるという須貝さん。
「アベマで見るのは麻雀チャンネルだけです。BGM代わりに『Mリーグベストセレクション』を見ることがあります。気持ちいいアガリがたくさんあって楽しいです。
一番印象に残ったのは、『プロは字牌を切らないんだなあ』ということです。『自分が打っているとすぐに字牌を切ってしまうのにMリーガーはどうして1枚しかない字牌を残して、なかなか切らないんだろう?』と思うんですが、解説のプロも特にそのことに触れなくて、それも不思議です。もしかしたら自分が見てないときにもう説明したかもしれないんですけど『なぜかなあ』と思いながら見ていました。
それで自分ではやらない打ち方だから、あえてそれを試しにやってみたんですよ。1や9を序盤に切って役牌を残して打ってみたんですけど、結果はあまり変わらない気がしました。結果があまり変わらないなら『役牌を残す』という打ち方もあっていいのかな、と思いました。これは勉強になったと思います」
疑問に思ったことをすぐに試してみるあたりが、さすがクイズノックだ。
麻雀は確率と期待値のゲームその楽しさを伝えたい
最強戦著名人超頭脳対決予選A卓のメンツは広瀬章人(将棋棋士)、釼持丈(囲碁棋士)、木原直哉(東大卒ポーカープロ)。
「囲碁と将棋は完全情報ゲームですが、麻雀は完全情報ゲームではありません。『相手がどれだけ頭がよくてもその先を見せてやる!』という気持ちを持っています。
準備としては、今まで以上に麻雀を打つ回数を増やすくらいですね。友達とのスカイプセットでは天鳳を使っていましたが、今は一人でスマホで打つことが多いので、主に雀魂になります。クイズノックの中では自分が一番強いので、ネットで上手な人や強い人と打てるのはいいと思います。普段は仕事の合間に『何かゲームをやろう』と思ったときに、麻雀はその選択肢のひとつなんですが、最強戦に出る以上、気合い入れて準備します」
クイズノックの中で須貝さんは「理科のお兄さん」的な存在で、小中学生のファンも多い。今回、須貝さんが出場することで、初めて麻雀の配信対局を見る人もいるだろう。
「クイズノックの『楽しいから始まる学び』という理念を、麻雀を通じて伝える機会をもらえたのはほんとうにうれしいです。
学校の数学で確率を習う時に『なんでこの問題の人は何回もサイコロふるんだ』と思っている人たちに、僕の麻雀を見てもらいたいですね。麻雀は確率と期待値のゲームで、頭を使うんですけど、まず楽しいということが大事なんです。そして、『今まで知らなかったことを知るのがおもしろい』という感覚を、見ている皆さんに届けられたらいいな、と思います。
もちろん、自分を信じて勝ちに行きますので、応援もよろしくお願いします!」
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