萩原にとってはハッキリとしたアガリ逃しがあっただけに、悔しい一局となってしまった。
南1局、沢崎の手は2巡目にして七対子のイーシャンテン。
しかしメンツ手も見えるため、七対子で使えそうな字牌は残さず両にらみの状態をキープする。
8巡目にが暗刻になって選択、ここでついにのトイツに手をかけ、メンツ手へと切り替えた。
こうなればタンヤオで仕掛けていくこともでき、多少は動きやすい形にはなる。
ここからピンズが思いも寄らぬ伸びを見せた。
最終形は何とメンツ手とトイツ手の複合形、平和高目二盃口に。
なら高目のハネ満だが、萩原がツモ切ったを出アガリで3900。
・・・一瞬間があったのは、まさかの見逃しを考えたのだろうか・・・?
とは言え、2着目からの直撃は大きい。
これで萩原との点差は2万点以上に広がった。
萩原も南2局2本場で渾身の待ちリーチ、親番で苦しいリーチを打った勝又から12000を出アガリして追いすがったものの、
南3局、萩原の親番で絶好の3メンチャンリーチをツモりあげて2000-4000。
萩原に親かぶりをさせてリードを盤石なものとし、そのままトップで逃げ切った。
およそ2ヵ月ぶりの勝利に、この笑顔。
そうだった。
打っているときは実におっかなく見えるのだが、一度卓を離れれば非常に愛嬌のある方なのだった。
一方で、萩原は厳しい3人を相手に2着を確保したものの、また勝てなかった。
萩原としては気持ちのいい、面白い雷電の麻雀を貫いて勝ちたい、という思いは少なからずあるだろう。
しかし一方で、未だ自身のトップがなく、チームポイントをマイナスとしてしまっていることへの葛藤もあるはずだ。
南3局の親番では沢崎の待ちリーチに対し、一発でを掴んだ。
見ての通りマンズの一色手模様、一度は止めるものターツからを外し、が打たれるのは時間の問題のように見えた。
しかし萩原は、このを打たなかった。
を勝負し、勝つために勇敢に戦ったと言えば聞こえはいいが、それでチームのポイントを減らしてしまえば元も子もない。
沢崎とは対象的に、萩原にはいまだ苦難の時が続いている。
しかしその中でも彼は必死で、今できる最善を尽くそうとしていたように見えた。
前もって決まっていたのか、それとも志願したのか、萩原はこの日の2戦目にも出場した。
そこでどのような戦いを見せてくれたのかは、山﨑和也さんの観戦記でチェックしてみてください。
さいたま市在住のフリーライター・麻雀ファン。2023年10月より株式会社竹書房所属。東京・飯田橋にあるセット雀荘「麻雀ロン」のオーナーである梶本琢程氏(麻雀解説者・Mリーグ審判)との縁をきっかけに、2019年から麻雀関連原稿の執筆を開始。「キンマweb」「近代麻雀」ではMリーグや麻雀最強戦の観戦記、取材・インタビュー記事などを多数手掛けている。渋谷ABEMAS・多井隆晴選手「必勝!麻雀実戦対局問題集」「麻雀無敗の手筋」「無敵の麻雀」、TEAM雷電・黒沢咲選手・U-NEXT Piratesの4選手の書籍構成やMリーグ公式ガイドブックの執筆協力など、多岐にわたって活動中。