自分だったらポンして切るかなーと思っていたら
石橋はをツモってきた!
チャンタ含みの選択が正解になった。
さらに
石橋はをチー!
美しくない。
実に美しくない。
この仕掛けに役牌はよほどのことが無いかぎり出ないだろう。
しかし、まごうことなきマンガンテンパイである。
しかも周りからはマンガンに見えていない。
仕掛けたのが石橋だからだ。
フーロ率が31%とMリーガー30人の中で小林の次に高く、かなり遠いところからも仕掛けていく。
実際、あの鉄壁の日向も
石橋が1フーロしている時点でを切り飛ばしている。
今までのクソ仕掛け…いや遠い仕掛けが、この本手をボカすために活きてきているのだ!
そう考えるとポンしてドラ3枚を見せるよりもチーしたほうがは鳴きやすいのかも…さきほどポンすると思った自分は考え直した。
日向の残したが危ない。
すると役牌を掴まなかった茅森がリーチを打つ。↓
リーチを受けた石橋。↓
一発で無筋のをツモってくる。
せっかくトップ目に立った場面だが、茅森にマンガンを打ち上げると一転してラスに舞い戻ってしまう。
弱気な打ち手なら、は誰かに持たれている可能性が高い…などと言って確実にオリる場面だ。
しかし石橋は自分の打ち筋を曲げなかった。
力強くを踏み込んだのだ!
ここで放銃してラスになろうとも、俺は俺の戦い方を貫き、俺は俺の運命に添うべきだと、そういう意思の強さを感じる切り方だった。
そしてそして、このタイミングで日向にテンパイが入ってしまう。
を押した石橋は確実にテンパイしているだろう。
そして見えていない役牌はとしかない。
ただ石橋は2900の可能性も十分にある。
そしてを押すということは役牌暗刻なのかもしれない。
様々な思いが日向の頭を駆けめぐる。
捨て牌を凝視する日向と天命を待つ石橋。
こうして…
石橋のこれまでの姿勢が、鉄壁の日向にを打たせたのだった。
2局連続による親マンのアガリによって、セーフティリードと呼べる点棒を築き上げた。
こうして石橋はオーラスも自力でアガリを決め…
Piratesに念願のトップを持ち帰ることに成功した。
今シーズン2度目のインタビューに、慣れないと苦笑いする石橋。
石橋のトップにより、Piratesはあとワントップでカットラインの6位になる位置まで見えてきた。
泣いても笑っても、残り14試合で2チームが姿を消す。
石橋が力強く押したのように、ここからは選手の魂の詰まった、見るものの心を震わす一打が何度も繰り広げられるだろう。
毎年言っているが、残り1ヶ月を切ってからがMリーグの面白さが凝縮される期間である。
麻雀ブロガー。フリー雀荘メンバー、麻雀プロを経て、ネット麻雀天鳳の人気プレーヤーに。著書に「ゼロ秒思考の麻雀」。現在「近代麻雀」で戦術特集記事を連載中。note「ZEROが麻雀人生をかけて取り組む定期マガジン」、YouTubeチャンネル「ZERO麻雀ch」