「南3局ですかね」
インタビューで開口一番茅森が口にしたのがこの局だった。
茅森はここからを切った。
ツモの裏目は激痛だが、を残しておくことで234の三色が見える。
ツモあたりで逆転がくっきり見えるイーシャンテンに進化すると判断したのだろう。
続いてツモってきたのが
なんともイジワルな。
を使おうとすると234にはならない。
しかし茅森は234を狙いつつ、も使うという欲張りな選択をとった。
打!
リャンメン✕リャンカンのイーシャンテンが、カンチャン✕カンチャンの苦しい形になってしまった。
赤がきたことで234を見切って打とするのが自然かと思われるが、茅森はが2枚打たれていることもあってタンヤオに寄せたという。
たしかにを切ることで仕掛けてマンガンのルートを残すことができる。
その後にをツモって…
テンパイ!
ただし、親の石橋(下家)からリーチ入っていては危険牌である。
アガればトップ目、放銃したらラス目の中、茅森は…
静かにを押した!
さらに試練は続く。
無筋のを持ってきてプッシュ!
続いても無筋の。
これも押すか…と思いきや
ここで現物のを切って回った。
損益分岐点と判断したのか。
それとも、最下位のPiratesを浮かび上がらせてはいけない、と思ったのか。
後に
「石橋さんは自信なさそうなオーラが出ていた。でも自分の待ちにも自信が持てなくて…」
と茅森は語る。
直後にツモってきたに、珍しく茅森は唇を噛んだ。
まだ通っていない筋は多いだけに愚形に当たらないくらいは押すべきだったか…そう後悔していたのかもしれない。
「ツモ!」
石橋が最後のツモを力強く手元に引き寄せる。
リーチツモウラウラの4000オール。
茅森からすると上下でとてつもなく大きな結果となってしまった。
石橋「あの親が落ちたら死ぬと思ってやっていた」
やや過剰な表現にも聞こえるが、この試合にかける背水の思いが伝わってくる。
石橋は今季まだ1勝しかしていない。
「自分はアグレッシブに戦う打ち方なので、トップを取らないと割りに合わない」
と語る石橋は、これまでにどれだけ不調だろうと仕掛けて前線に立つスタイルを崩さなかった。
続く1本場も同様である。
南3局1本場 鉄壁の日向に亀裂が入る
茅森の切ったドラに石橋が反応した。
「チー」
役はの後付けだが、ポンしてトイトイ含みにするか、チーしてチャンタ含みにするかは難しいところだ。スルーしてチートイを残す人もいるだろう。