最小限のチャンスを逃さない感性と卓越したゲームメイク 堀慎吾しか取れないトップ【Mリーグ2020セミファイナル観戦記4/12】担当記者:山﨑和也

藤崎はテンパイまであと少し。【6ソウ】にくっつけば打点の上昇が見込めて大きい。

堀もイーシャンテンで追いついた。全員がイーシャンテンで並ぶ格好となり、しばらく膠着状態が続く。この【3ピン】切りには時間を使った。おそらく藤崎に鳴かれるのを嫌ったのだろう。実際鳴かれてテンパイを取られていた。

と思いきやなんとテンパイ取らじ。どうしても連荘がしたい局面でこのスルーは驚く。チーしたあとの待ちが悪いと見てだろうか。これもなかなか真似のできない選択だ。

自力でテンパイし、待ちは【6ソウ】【8ソウ】。あまり嬉しくない格好になってしまったが、これは仕方がないか。

終盤で藤崎の手出しを見たからにはイーシャンテンの方々は身構えなくてはならない。放銃は最悪で、ほとんどラスが決まってしまう。

堀は【西】の暗刻という強固な盾を振り回しながらテンパイに向けて粘る。

滝沢はフリテンながらテンパイに取れたのだが、無筋の【7ピン】を引いて打【1マン】。1000点でも加点したい状況ながらぐっとこらえて次のチャンスを待った。

ひりひりとした勝負だったが、結局テンパイで終えたのは藤崎のみ。河の濃さや鳴きが飛び交ったことから藤崎としては意外だったのではないか。ともあれ藤崎は3000点を得てラスの可能性が低くなった。これは大きい。

南4局2本場

堀が自風の【北】をポンして仕上げにかかる。

滝沢はダブ【南】をポンした。現状は2000点の手になりそうだが、ドラや赤を引けば大丈夫といえる。この超僅差では目に見えた2000点の確保をされるのも嫌なものだ。ドラを残して打【8マン】

このあと滝沢が【南】を果敢に加カン。あまりにも早くてスクショが追いつかなかった。

藤崎もチートイツドラ3の一撃必殺手のイーシャンテンまで伸びていた。この中で誰が抜け出せるか。

最初に先制リーチを打てたのは白鳥だった。待ちは【1マン】【4マン】ピンフのみの手だが、滝沢のカンにより裏ドラチャンスが増えている。トップまで狙えるリーチだ。

宣言牌の【白】を藤崎がポン。チートイツではなく鳴いて動きやすい手格好に持っていった。

堀も参戦。白鳥から出た【7ピン】をチーして打【8ピン】【2ピン】【5ピン】のテンパイに取る。

白鳥のリーチ、藤崎のドラポン、堀の3鳴き。カオスと化した場で滝沢もイーシャンテンのまま前を向いていた。しかし掴んだのは無情にも白鳥の当たり牌である【1マン】

【2ソウ】としてこらえたが、テンパイしたら出てしまう。傍目には横移動しか助かる道はなくなったが、当然滝沢は知る由もない。

【2マン】【5マン】待ちのテンパイになったところで【1マン】の放銃となった。これで白鳥のラス回避が確定。問題はどこまで順位を上げられるか。

惜しくも裏はのらず。2000は2600で、リーチ棒を足しても藤崎には600点届かなかった。

最後に立っていたのは堀。僅差のトップを守り抜いての勝利だった。振り返ってみると、東4局のチートイツ6400点が効いたのではないだろうか。堀だからこそ獲れたトップではないかと思うと、サクラナイツは頼もしい選手を獲得できたのだなと実感する。

セミファイナルシリーズは始まったばかりだが、今後も熱い戦いが見られそうな予感のする一戦だった。次の日もMリーグがある喜び。やっぱりいいですね。

 

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