現物の切り!
ここで放銃した場合には4着落ちまであり得る。現状トップ目という有利な立場にいる南3局で、そのようなリスクを負うことは出来ない。現物は少ないが、ここは園田、「その瞬間に最も安全な牌を選んでいく」という気合オリを選んだ。
この園田の手が、まわりながらチートイツでテンパイ!沢崎と園田の二人テンパイとなり、園田リードでオーラスをむかえる。
園田はソウズを切り飛ばしてピンズをカンチャンでチー。ピンズのホンイツへ向かったというメッセージを送ることで、他家への圧力を高めて流局でのトップを狙う。
だが、最後の最後にやってきたのは、
黒沢だった!自風のをアンコにしてのリーチだ!
勝又や沢崎からの出アガリは2着。そして、ツモや園田からの直撃は、裏が乗れば逆転トップだ。
レギュラーシーズンでも、「もうだめだ…」と思うようなところから、何度も逆転劇を見せてくれた“オーラスの女神”黒沢咲は、
を手繰り寄せた!
裏ドラは!?どうだ!!??
乗った!!!なんとツモり上げたが裏ドラだ!!!
中盤、手が入らない中で辛抱し、巡ってきたチャンスをものにした黒沢が逆転トップを飾った。
オーラスの逆転で、雷電はファイナル進出ボーダーである4位との差を55.6ptにまで詰めた。まさに大混戦で目が離せない日々が続く。
インタビューでは、
「オーラスのリーチは、ツモアガっての裏1に賭けるために見逃そうか考えていた」
と語った黒沢。なんとしてもトップを持って帰りたかったのだろう。
そしてどうやら控室では、裏ドラを乗せるために裏ドラをめくる“素振り”をしていたのだそうだ。そんなお茶目なところも黒沢らしい。もしかしたら練習の成果がオーラスに発揮されたのかもしれない。
インタビューでは、
トップを獲った喜びに満ち溢れていた黒沢。
そんな彼女の真っすぐな瞳に見つめられて、雷電ユニバース全員に一万ボルトの電流が走った、そんな春の夜であった。
京大法学部卒の元塾講師。オンライン麻雀「天鳳」では全国ランキング1位。「雀魂」では4人打ち最高位の魂天に到達。最近は、YouTubeでの麻雀講義や実況プレイ、戦術note執筆、そして牌譜添削指導に力を入れている、麻雀界では知る人ぞ知る異才。「実戦でよく出る!読むだけで勝てる麻雀講義」の著者であり、元Mリーガー朝倉康心プロの実兄。x:@getawonarashite