勝又健志が直面した
麻雀の不条理 それでも
EX風林火山は前を向く
文・東川亮【木曜担当ライター】2021年4月15日
麻雀は、本当に怖くて面白いゲームだ。
運が絡むゲーム性である以上、確率や期待値に反する結果が出るケースは枚挙に暇がない。
時にどうしようもない不運に襲われ、時に驚くような幸運に恵まれる。
麻雀における幸運と不運は、いつだって表裏一体。
麻雀打ちはそれらに翻弄されながら、幸運を味方につけられるよう、日々技術を磨いているのだ。
4月15日 第2回戦
南家:内川幸太郎(KADOKAWAサクラナイツ)
東2局。
黒沢、そして親の内川が好配牌をもらう。
テンパイ一番乗りは早々に役牌を仕掛けたたろうだったが、黒沢が待ちで追いついてリーチ。
リーチタンヤオ平和ドラで打点は十分だ。
親番、好形、打点も見える。
内川には前に出る理由がたくさんあった。
それゆえのプッシュ。
黒沢が内川から8000は8300を出アガリし、まずはリードを奪う。
東3局は親の勝又にものすごい配牌。
リーチは時間の問題かと思われた。
内川は大三元の気配が漂う牌姿だが、さすがに遠い。
しかし、うまく行くときはこんなものか。
をポンすると、と立て続けに鳴けて、あっという間にテンパイ。
アガリに向けてしゃにむに突っ走る内川を横目に、勝又はゆったりと構える。
カン待ちテンパイはがすでに2枚切れなので取らず。
待ちならば納得と見たか、ここでリーチと打って出た。
内川は序盤にを切っており、マンズの上は使えなさそうだ。
内川は切りで守備にも回れるが、自身の手はいわゆる「この手をオリていては麻雀にならない」形。
真っ向勝負とばかりに、ドラをノータイムでたたき切る。
危険なリーチへの真っ向勝負は、麻雀をやっていて最も面白い局面の一つ。
おそらく無意識だろう、内川の顔に笑みが浮かぶ。
超危険牌を連打してくる内川のただならぬ様子は、勝又には当然分かっていたはずだ。
尋常でない押しは、手の内の強烈さを推察させる。
おそらく、満貫程度では済まないことも感じていただろう。
そこへ掴んだ、勝又が牌を切る手に、どこか観念した様子が感じられた。