勝又健志が直面した麻雀の不条理 それでもEX風林火山は前を向く【Mリーグ2020セミファイナル観戦記4/15】担当記者:東川亮

内川にとっては会心の、勝又にとっては痛恨の16000。

勝又は東4局1本場にも黒沢のリーチ七対子に放銃、裏ドラが乗って8000は8300の失点。

厳しい展開が続く。

南3局

親番の勝又は、絶好の【赤5ソウ】を引き入れて

【1ソウ】【4ソウ】【7ソウ】待ちリーチを打った。

巡目はまだ5巡目、他家の手もそれほど仕上がっていない公算が高く、かなりアガれそうだ。

アガリ牌はリーチの時点で4枚と、巡目と待ちを考えればやや少ない方だった。

とはいえ、それは打ち手には分からない。

一つ言えるのは、流局して1人テンパイの収入だけでは不服、ということだ。

連荘した次局、勝又は【7ピン】切りで【1ソウ】【4ソウ】【7ソウ】待ちリーチを打った。

くしくも、待ちとリーチ宣言牌の両方が前局と一致している。

入り目は暗刻になる役牌【東】、これ以上ない牌だ。

ヤミテンでも出アガリ7700、ツモって4000オールスタートだが、この点数状況なら6000オールを引きに行く一手。

今回は山に9枚残りと、勝又が今にもツモりそうだった。

6000オールになるドラpastedGraphic_31.pngも丸々4枚残っている。

しばらくツモれず10巡目、勝又が切った【南】をたろうがポン。

ダブ【南】で、満貫へのルートとしてはホンイツトイトイがあるが、たろうはホンイツへと舵を切った。

ホンイツなら当座の勝負で切る牌が【5マン】1種類であること、アガリ牌以外は何でもツモ切る勝又からのチーが狙えることなどが理由だろう。

ただ、これも無駄なあがきに思えた。

・・・おかしい。

勝又が全くツモれない。

内川、黒沢に何枚か流れたとはいえ、さすがに十分な枚数は残っているのに、である。

Mリーガーの中でも攻めっ気の強いたろうが前に出ているので、巡目や状況次第では掴めば出ることも考えられた。

そのたろうの元にもアガリ牌は来ない。

そしてとうとう、たろうがテンパイ。

とは言え待ちのカン【4ピン】は山に1枚。

この時点で残り4枚ある勝又の待ちの方が、圧倒的に有利なのは変わりない。

しかし、麻雀は確率通りには決まらない。

いかに山にあろうと、勝つのはアガリ牌を引き寄せた方なのだ。

たろうがツモって2000-4000は2100-4100。

アガったたろうの手組みは秀逸だったが、それ以上に勝又を襲った麻雀の残酷さが印象的な一局だった。

オーラス満貫ツモで逆転トップの内川が、【中】ホンイツ、高目一気通貫満貫となる逆転手を入れる。

そこに立ちはだかったのがトップ目だった黒沢、【7マン】をチーしてテンパイ。

さすがにアガリトップのテンパイなら、黒沢と言えど鳴く。

別に、黒沢は鳴かない縛りプレーをしているわけではないのだ。

まあ、これがこの日連闘した黒沢の、2試合を通じて唯一の鳴きとなったわけなのだが。

内川も【南】ポンで満貫確定の【2ピン】【5ピン】【8ピン】待ちに受け変えて食い下がるが、黒沢が押し切って同日2連勝を飾った。

勝った黒沢の攻めや守りはもちろん見事だったが、それ以上に印象に残ったのが、勝又の不運だった。

ロン牌を掴み、裏ドラを乗せられ、自身の勝負手は空振る。

唯一のアガリは南2局。

リーチのみとはいえ【1マン】暗槓で裏ドラが2枚見られたが、めくって表れたのはどちらも【8マン】だった。

70符1翻、内川からの2300の出アガリだが、仮に裏ドラ表示牌がどちらも【9マン】だったならリーチ裏8の倍満を内川にお返しできていた。

【8マン】は山に残り2枚、一方で【9マン】は3枚残っていたのだが・・・。

「たられば」は勝負事には禁物だが、それを口にしたくもなる展開。

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