その36 相手の立場に立とう
麻雀は、自分のことが一番大事です。
しかし、相手の心理を考えることも、対人ゲームなので非常に重要なスキルです。
人のことを考える余裕ができてこそ、上級者と言えるでしょう。
問題
それでは本日の問題です。
ポン ドラ「軍師」と呼ばれ、相手について考えることに長けている勝又健志選手。
この状況で、何を考えて何を切ったでしょうか?
※今をポンしたところで、勝又選手の目標はこの半荘二着以上になること。他の選手は、少しでもポイントを伸ばしたいものとします。
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解答
打
解説
普通に考えると、こんなのはしか切る牌はありません。
の重なりを逃すのは痛すぎるからです。
しかし、勝又選手はを切りました、その理由を考えてみましょう。
ここで大事なのは、「を安全牌として抱えた」「鳴かれる前にドラを切りたかった」という、ための理由を考えないことです。
安全牌を持つような状況ではありませんし、ドラを鳴かれたくない!と怯えるような状況でもないのです。
では、何故ドラを切ったのでしょうか。
それにはまず、相手の立場に立つ必要があります。
親の園田選手は、オリても三着以下になる可能性が高いので攻めてきます。
4着目の堀選手も勿論攻めてきます。
そしてトップ目の多井選手は、なんとかトップで終わりたいです。
そう考えると、一つのことに気づけます。
「多井選手は、勝又選手の2着になる和了は歓迎している」
多井選手の立場になって考えると、勝又選手がマンガンをツモ和了る、もしくは自分から5200以上を和了らないかぎりトップは守れます。
すなわち、勝又選手の手が高くないとわかれば、協力するのです。
さて、それではここで勝又選手の立場に戻りましょう。
このドラの8mを切らずに重なれば、たしかにトップまで見えます。
しかしそれでは、多井選手の協力が得られません。
一人で和了りを目指すのと、二人で和了を目指すこと。どちらが和了やすいかは明白です。
勝又選手は2000点和了れば2着になるので、目標のためにはこのドラは無理に使う必要はないのです。
それならば、ここでドラを切ることにより、多井選手に「僕はトップを逆転しようなどとは考えていません。2着でいいので、協力しましょう」と、牌で語りかけているのです。
これが、相手の立場に立つということとなります。
そして結果どうなったかと言いますと…
見事に、2000点の和了となり、2着以上を絶対に取るという大仕事を果たしました。
注目すべきは上家の多井選手の捨て牌です。
真ん中がズラーーーっと並んでおり、見事勝又選手の意思を汲み取っています。
このように、牌で会話できるようになると、上級者へ足を踏み入れたと言えるでしょう。
皆さんも意識してみてください。
それでは、また!
渋川通信
ファイナルも佳境。どのチームが優勝するのか、最後まで楽しみましょう!