まこ「なるほど。とにかく連荘してもらってチャンスを待つんだ」
東谷「そう。加えて親に鳴かせたことでまこちゃんの手牌も整ってるかもしれないと錯覚させることもできる。実際の手牌は見えないからね。前回の授業でも伝えたことだけど、他家の目にどう見えるか、ということは常に考えていないといけない」
まこ「テンパイしていなさそうな親に鳴かせて連荘してもらうことはあったけど、プレッシャーを掛けてもらうっていう発想はなかったなあ」
東谷「将棋や囲碁で、劣勢な時に局面を複雑にさせるような手が逆転を生むのと同じように、麻雀でも局面を複雑にさせることで相手の判断を狂わせられることがあるんだ」
まこ「確かに自分以外の3人みんなが前に出ている局面で共通安牌がない時、誰の安牌を切るべきか迷う時があるなあ」
東谷「それでリーチ者の現物を切ったら他家からロンと言われたりね」
まこ「麻雀覚えたての頃はよく失敗してた」
東谷「麻雀で選択できるのは、ポン・チー・カン・リーチ・ロン・ツモの発声と打牌だけ。でもその行為で自分の手牌だけでなく、他者の思考に干渉できるから、それをコントロールできるようになるとまた違う世界が開けると思う」
まこ「Cさんが上家だから、捨て牌や仕掛けでプレッシャーを掛けられたら、Cさんを自由に打たせなくできるね。ちなみに手牌が整う前にを切られたらポンした方がいいの?」
東谷「いいと思う。ただ、後から役牌を重ねた時の効果は絶大だけど、逆に言えば重ならないと話にならない。もし序盤に字牌を切られるような展開になったらそれ以上のプレッシャーを掛けられなくなるから、一長一短ではあるね」
まこ「なるほど」
東谷「最後に補足になるけど、鳴いてプレッシャーを掛ける時は、基本的にチーよりもポンの方が効果的」
まこ「トイトイがあるから?」
東谷「そう。鳴いてもニハン役で、役牌やホンイツとの複合で高打点になりやすい。その上待ちも絞られづらいからね」
まこ「うんうん」
東谷「ホンイツを狙う時はドラ色に染めた方がいいし、トイトイもホンイツも厳しそうな時はドラが固まってそうに見せた方がいい」
まこ「わかった。ちなみに次の最強戦、1戦目は2人勝ち上がりのトーナメント、2戦目は1着のみ勝ち上がりのシステムなんだけどプレッシャーを掛ける方法って違ってくるのかな?」
東谷「その2つだと主に東場で変わってくるね。東1局で自分が南家、この手をもらったらどうする?」
東1局5巡目 南家
ドラ
まこ「先制なら準決勝も決勝もを切ってリーチ打つ」
東谷「それはアグレッシブだねえ。準決勝と決勝の違いなんだけど、基本的に序盤は準決勝よりも決勝の方が押し返されやすい傾向にあるんだよね」
まこ「それはトップしか意味がないから?」
東谷「そう。より厳密に言うなら、標的が違うことでツモられた時と放銃した時のダメージの差が違うんだ。例えば西家がマンガンをアガったとしよう」
A.西家が2000-4000をツモった時
東家 25000→21000
南家 25000→23000
西家 25000→33000
北家 25000→23000
B.東家が西家に8000点放銃した場合
東家 25000→18000
南家 25000→25000
西家 25000→33000
北家 25000→25000
東谷「東家視点で考えると、マンガンを放銃すると全員とかなり点差が離れてしまうけど、ツモられた場合は親被りしても2着と2000点差しかつかない。一方でトップとの差は放銃した場合16000点差、ツモられた場合12000点差になる」
まこ「なるほど。準決勝の場合は2着との差が大事になるから、序盤から無理して攻める必要はないんだ。逆に決勝の場合はツモられたとしてもトップとの差が大きく開いてしまうから、降りすぎても良くないと」
東谷「あくまで手牌との兼ね合いにはなるけど、決勝だと特に親が押し返すことが多くなる、ということだね
まこ「じゃあさっきの東1局の手牌だと決勝の場合はリーチを掛けるのは危険ってこと?」
ドラ
東谷「そうだね。準決勝であればリーチでプレッシャーを掛けると、抑えつけ効果が強いから他家の手を遅らせられる。ただ決勝の場合は、押し返されやすく、追いつかれたらたちまち分の悪い勝負を強いられることになる」
まこ「リーチを掛けないならを切ってヤミテン? それとも切ってテンパイ崩し?」
東谷「5巡目であればを切っても十分間に合うと思う。自然に高くなればそれでよし、そして上家からが出たら鳴いて2000点にしてもいい」
まこ「せっかく切って高打点を目指せそうなのに鳴いてもいいんだ」
東谷「そもそもリーチを掛けない理由が序盤の放銃リスクを抑える為だから、欲張ってスピード負けするのだけは避けないといけない。急所のマンズを捌ければアガリがぐっと近くなるから、そこは柔軟に考えよう」
まこ「はい。ありがとう、先生」
東谷「じゃあ今回はここまでにしようか。続きはまた次の授業で」
本日の教訓:プレッシャーも武器になる
駒田真子最強位への道はまだまだ続く…
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