熱論!Mリーグ【Tue】
パイレーツのセミファイナル
開幕2連勝をもたらした
未完の大器・瑞原明奈の進化
文・渡邉浩史郎【火曜担当ライター】2020年3月17日
いよいよセミファイナルが始まった。
レギュラーシーズンのポイントは半分にされ、各チーム12試合という短期決戦で、ファイナルに出場する4チームに絞られる。一戦一戦の重みはレギュラーシーズンの倍以上であろう。
思えばレギュラーシーズンの最終盤は毎試合がドラマのような展開であった。そんな、まさに疾風怒濤のボーダー争いを、勝ち抜いたのはパイレーツ。
船長・小林剛の見事な舵取りで、辿りついたセミファイナルという新たな海域。敗退でもおかしくなかったギリギリでの通過、ポイントで見た不利以上に、追い風が吹いていると感じるのは筆者だけではないだろう(当のパイレーツクルー達は一切感じていないであろうが)。
そんな大事な一戦目、任されたのは女海賊・瑞原明奈。
レギュラーシーズンでは終盤トップが遠のき、朝倉康心と小林剛の二大エースにボーダー争いを委ねる日々が続いていた。
1戦目
南家 茅森早香(セガサミーフェニックス)
西家 瑞原明奈(U-NEXTパイレーツ)
不調メンバーの復活なくしてチームの復活はありえない。重厚な打ち手が揃ったこの半荘、満を持して女海賊の出港だ。
【東1局】
7巡目、瑞原が選択を迫られる。
素直にカンチャンを落とせば両面が二つのイーシャンテンだが、は自身で切ってしまっている、いわゆるフリテンターツ。さらにが三枚見えているとはいえ、カンも二枚切られている。ここは……
打。を切って、受けを残しつつ萬子に両面変化を求める選択もあったが、ここは素直にテンパイへの受け入れ枚数を重視した。
そうこうしている間に茅森がこの勝負手のイーシャンテン。
親の前原もテンパイ。平和のみのダマテン。
瀬戸熊がとをポンして両面落とし。この迫力ある跳満テンパイを入れる。
瑞原もフリテン残りながらもテンパイ。
は全員に通っていない生牌だが、フリテンとはいえテンパイであればと切っていく。
瀬戸熊や前原に高打点で当たりそうな牌が来たらすぐに降りる、仮初のテンパイであるかのように思えたが……
次巡引いてきたのはなんと。
この煮詰まってきた局面を500/1000で躱す、価値あるアガリだ。
瑞原といえば対局中の鋭い視線が人気の選手だ。その視線のような鋭さを感じさせる、見事なファインプレーが見られた一局であった。
【東三局】
少し飛んで、瑞原の親番。勝負配牌が訪れる。
配牌5対子!
七対子のダブルリーチにこそならなかったものの、字牌とピンズに寄っており、ホンイツ七対子orホンイツトイトイといった高打点が容易に想像できる勝負手だ。
わずかだがぼかしを入れるため、から切り出していく。
これが次巡を引いてテンパイ!
一手替わりホンイツ七対子の為当然のダマ。一応のツモでの3200オールアガリの目を残す打。現状の巡目では、それ以外で仮にツモったり出たりしても見逃す選択肢を取る、いわば”上がれるイーシャンテン”だ。
次巡すぐにドラのを引いてくる。親が3巡目にしてツモって倍満、出アガリ跳満のテンパイだ。
さらに次巡引いたのは。
瑞原はここで……