なんとこの形のまま3段目に突入する。
いつもそうだ。俺はあと一歩のところで届かない。
ひたすら相手の先制を受け、たまに顔を出すと放銃する。
相手の華麗なアガリを悔しい気持ちで眺めるだけの3年間。
瀬戸熊・黒沢という仲間にも、そして変わらず応援してくれる雷電ユニバースのみんなにも、裏切り続ける結果となってしまった。
そんな気持ちでいた13巡目、ふいにツモってきたに手を止める。↓
もう、スリムに構えるような巡目でない。打。
次の巡目、ようやく時が満ちた。
ドラのをツモってのテンパイ!
局面が長引いたこと、テンパイしてくれたこと、そしてまだこの舞台に立てること… その全てに感謝しながら萩原は絞り出すように発声した。
「…リーチ!」
チーム雷電の… 3年間溜まりに溜まった澱(おり)のような感情が萩原のリーチ棒に乗り移る。
頼む… ツモれ!
牌が砕けるのではないかと思うくらいゴリゴリに盲牌する萩原。
…がっ! ツモれない。
今季も、届かないのか…!
そしてそれは最終ツモ番だった。
「ツモ、2000・4000」
雷電ユニバースの鬱屈した思いが爆発した瞬間だった。
昨年クリスマスまでトップを取れなかった男が、開幕戦での逆転トップを決めた。
続く2戦目も黒沢がトップを取り、雷電の連勝となった。
次に瀬戸熊、そして新人の本田の活躍にも期待ができる。
今シーズンの雷電は…
面白いんです!
麻雀ブロガー。フリー雀荘メンバー、麻雀プロを経て、ネット麻雀天鳳の人気プレーヤーに。著書に「ゼロ秒思考の麻雀」。現在「近代麻雀」で戦術特集記事を連載中。note「ZEROが麻雀人生をかけて取り組む定期マガジン」、YouTubeチャンネル「ZERO麻雀ch」