込められた渋川難波の意思 牌に選ばれずとも その過程は美しく【Mリーグ2022-23セミファイナル観戦記5/1】担当記者:江崎しんのすけ

込められた渋川難波の意思
牌に選ばれずとも
その過程は美しく

文・江崎しんのすけ【月曜担当ライター】2023年5月1日

第1試合

東家:仲林圭(U-NEXTS Pirates)
南家:本田朋広(TEAM雷電)
西家:白鳥翔(渋谷ABEMAS)
北家:渋川難波(KADOKAWAサクラナイツ)

セミファイナルも、残すところあと3日。
5月1日の第1試合は総局数15局のロングゲームとなっていた。

各選手の親番で大物手が炸裂し、連荘が続く。
東2局には本田が跳満を成就させ大量リードを築くも

南1局に、親番の仲林が連荘に成功し本田を逆転する。

その後、本田と仲林が交互にアガリを決めトップ争いを続けるが、南3局にて3着目だった白鳥が4,000オールを炸裂させ、一気にトップ戦線へ参加。

試合は南3局1本場に突入していた。

この大物手が飛び交う展開に乗り遅れたのが渋川だった。

セミファイナルに進出するためには残り試合を1試合も落とすことができないサクラナイツ。ただ、ここまでの試合展開は渋川にとって非常に厳しいものだった。

東2局にはリーチ合戦の末、親番の本田へ18,000点の放銃。

 

勝負の親番でテンパイまではたどり着くものの、リーチ宣言牌がタンヤオのみの仕掛けを入れていた白鳥への放銃となり不発。

その後も、高打点のツモり合いに巻き込まれ、気が付けば点数は-6,600点にまで減っていた。

ここまでチームに吹き荒れていた逆風が、こんな状況になっても吹き止むことなくむしろ強さを増している。

しかし、チームの命運を任された渋川はこれしきのことでは諦めない。

南3局1本場、渋川の手牌。

【中】【白】がトイツで4トイツある。七対子はもちろん、マンズ・ソーズのホンイツも狙えそうだ。

しかし、渋川はこの手牌をもらって狙いは1つしか考えなかったという。

もちろん、四暗刻だ。

親番を控えてはいるものの、この点数状況のままオーラスに突入すれば、着順を競っている本田・白鳥のスピード決着も十分あり得る。

オーラスの条件をより軽くするためにも、可能な限り大物手を決めたいところ。

そして、もしここで渋川が四暗刻をツモったとすると、点数状況はこのようになる。

仲林  41,300点 →33,200点
本田  34,700点 →26,600点
白鳥  30,600点 →14,500点
渋川  -6,600点  →26,300点

この試合で一番差をつけたいトータル3位のABEMAS白鳥を最下位にすることができ、2着の本田とはほぼ並び、トップの仲林までも6,900点差と非常に良い並びでのトップが現実的になるのだ。

形勢を逆転させる大一番の勝負手。
渋川は四暗刻に向け、まっすぐ手を進めていく。

3巡目、【2ソウ】が暗刻になり四暗刻リャンシャンテンに。

【3ソウ】【白】が1枚ずつ切られる、だがもちろん鳴かない。

【赤5マン】を引いてきたが、欲しいのは今ではない。
迷うことなくツモ切っていく。

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