込められた渋川難波の意思 牌に選ばれずとも その過程は美しく【Mリーグ2022-23セミファイナル観戦記5/1】担当記者:江崎しんのすけ

徐々に渋川の河が派手になっていく。
これに反応したのが、親番の白鳥だった。

8巡目の手牌。白鳥は選択を迫られる。
カン【7マン】受けができたところだが、孤立牌の【3ソウ】にくっつけば345の3色も見える。

白鳥目線の河はこうなっている。
【赤5マン】をツモ切った渋川が親の安牌である【東】もツモ切ってきている。

白鳥は対局後のYoutube配信にて、「この【東】ツモ切りで、渋川の手は暗刻系の手だと思った」と話していた。

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一見、七対子っぽく見えるが待ち頃の【東】をツモ切ったとなればそれも否定される。この地点で四暗刻も読み筋に入っていたそうだ。

そうなると、【2ソウ】【5ソウ】など【3ソウ】周りの場況が良いが、1枚も見えていないとなると渋川が固めて持っている可能性も高い。

実際に【2ソウ】は渋川が暗刻で持っていた。

渋川の手を正確に読み、白鳥は打【3ソウ】を選択する。

この白鳥の一打が、逆に渋川に良い影響を与える。

同巡、渋川は【南】を重ねる。
七対子のテンパイに取れるが、もちろん取るつもりはない。
暗刻になりやすいトイツを選んでいく。

渋川視点の捨て牌がこちら。

白鳥が打【3ソウ】を選択していなかったら、渋川は孤立牌の西を切って全てのトイツを残していたかもしれない。
しかし白鳥が【3ソウ】を切ったことで、渋川の視点から【3ソウ】が4枚見えになったのだ。

そうなると暗刻にならない【3ソウ】は残しておく必要がない。
【3ソウ】のトイツを落とし、【西】が重なる余裕を持たせておく。

次巡、4枚目の【2ソウ】を引く。ポンするつもりならカンする一手だが、鳴くつもりは元々無いのでまだカンはしない。

そして3巡後、残していた【西】が重なる!
このタイミングで【2ソウ】をカン。

リンシャン牌【中】。これでとうとう四暗刻のイーシャンテンに。
渋川は少考の末、【4マン】のトイツ落としを選択した。

枚数だけでいえば【白】を切りたいが、【4マン】が山に何枚いるか読みにくいことと、もし四暗刻にならなくとも【4マン】を落とせばソーズのホンイツが確定し高打点が見込める。

そして同巡。親の白鳥にテンパイが入った。

平和ドラ1のテンパイ。リーチに行きたいところだが、待ちの【3ピン】【6ピン】【3ピン】が既に4枚見え、【6ピン】は一枚切れている。

白鳥はもう一度河に目をやる。

直前に渋川が【4マン】を手出ししている。
序盤に【赤5マン】をツモ切りしている渋川が【4マン】を切ってきたとなれば、これまでの読みからもトイツ落としである可能性が高い。

ターツ選択が入っているということは、イーシャンテンまでは育っていそう。そしてチーム状況を考えると、オリずに追いかけてくることは大いにあり得る。

白鳥の決断は、リーチだった。

白鳥はこの【3ピン】【6ピン】待ちに勝機があると読んだ。
ポイントは直前に切られた渋川の【4マン】

まず本田と仲林は序盤に【6ピン】【4ピン】を切っているため持っていない可能性が高い。残りは先ほどの【2ソウ】と同じように渋川が固めて持っている可能性だが、仮に渋川が【6ピン】をトイツで持っていた場合、【6ピン】は場に1枚切れに対して【4マン】は1枚も切れていないため、【4マン】ではなく【6ピン】を切るのではないだろうか。

この白鳥の読みはほぼ当たっており、残りの【6ピン】は1枚を本田が、残りの2枚は山に生きていた。

親リーチを受けた渋川。
しかし、当然オリる訳はなかった。

リーチの1発目には、トイツ落としの最中だった無筋の【4マン】を切る。

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