そして次巡、渋川の元に訪れたのは。あの時1枚だけ持っていたを見事暗刻にすることができ、手牌は最高の最終形に仕上がった。
「リーチ」
渋川の打牌が横に置かれた。
この四暗刻、が1枚・が2枚と山に3枚も生きていた。
ツモれば文句なく役満。仮に出アガったとしてもの出アガリなら三倍満にまでなる。
しかし、渋川の手が開かれることはなかった。
同巡、白鳥がをツモり上げる。リーチツモ平和ドラ裏を成就させる。
ベストな選択と、それにマッチしたツモ。
渋川はやれることは全てやったが、それでもアガリまであと僅か、届くことはなかった。
オーラス、渋川は連荘に成功するも、次局はノーテンで流局。
白鳥が接戦を制し、セミファイナル進出に向けた大きな1勝を手にした。
対局後、渋川は自身のYoutubeチャンネルにて対局の振り返り配信を行っていた。
関連リンク:渋川式 麻雀通信
「サクラナイツは正直ほぼほぼ厳しい状態になりました」
そう言い「最終日の最後までしっかりと麻雀を打ち切るつもりです」と語った。サクラナイツは残り2試合で490pt近くを逆転する必要があり、これはMリーグルールでは殆ど不可能に近いと言っていい。
麻雀の結果は運に左右される要素が多く、選手は干渉することができない。選手にできることは、結果に至る一歩手前の、手牌の最終形に意思を込めることまでだ。
今日の渋川は結果こそついて来なかったものの、美しい手牌の最終形を意思を持って作り上げ、その過程は結果に関わらず多くの人の心に響いたのではないだろうか。
セミファイナルも残り2日。
今シーズンのサクラナイツが最後に作り上げる最終形、そこに至るまでの過程を最後まで見届けたいと思う。
日本プロ麻雀連盟所属プロ。株式会社AllRuns代表取締役社長。業界を様々なやり方で盛り上げていくために日々奮闘中。Mリーグ観戦記ライター2年目。常に前のめりな執筆を心がけています(怒られない範囲で)。Twitterをフォローしてもらえると励みになります。
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