”一牌の後先”  ”牌のめぐりあわせ” 【Mリーグ2021観戦記10/15】担当記者:渡邉浩史郎

ポンしてない!スルーだ!

同巡に出た【白】は……

ポン!!

なるほど。オタ風の一鳴きポンからではいかにも目立つので【白】かドラのポンから発進したかったというところだろうか。確かにこの【南】スルーはかなり盲点に成り得る。

是非はともかく、近藤誠一の麻雀とは何かを見せつけられた一打であることは確かだ。

この3山シャンポンに追いついたのが……

瀬戸熊だ! 前局のアガリで手の武者震いはハイボルテージ! クマクマタイムの入り口となり得る決めのリーチだ!

山に残り少ない待ちではあったが……

最後一枚の当たり牌を近藤がつかんでしまう!!

単純に瀬戸熊の河だけ見てもまだマンズとソウズどちらもあり得る。これはやむなしの放銃かと思われたが……

近藤の右脳がフル回転!! 降りを選択だ!!

理論ではなく直観の降り。この人にはいったい何が見えているのだろうか。

うまく回って聴牌を取り切る。

【5マン】引きで降りを選択してからすぐにツモ切られた【南】を見て近藤は何を思うか。

【東4局】

瀬戸熊の親番は落ちて東4局。打点不安な形の所に瀬戸熊が引くは【赤5マン】。当然の先制リーチで攻めていく。これが山に5枚残り。

当たり牌を吸収して追いつくは園田。【4ピン】【7ピン】は山に2枚残り。

先ほどの枚数差をやり返しか、瀬戸熊からラストの【4ピン】を直撃。真っ向勝負のぶつかり合いを制してトップ目に返り咲く。

【南4局2本場】

場面は変わってオーラス。瀬戸熊と園田のトップ争いが苛烈さを増している状況。

瀬戸熊の手には条件を満たす赤3の手牌。

タンヤオにまとめるなら残しておきたい【7ソウ】だが……

ここは自風の【北】重なりも見てスリムにする打【7ソウ】

しかし次巡、引いてきたのは激痛の【7ソウ】。当然河に並べることになる。

この裏目がドラマを引き起こす。

ハネツモ条件の近藤が、【7ソウ】二枚切れを見てマンズの伸びを残す打【8ソウ】

そこにぶつかるは瀬戸熊の条件を満たしたシャンポンリーチ。

この【西】【3マン】も山には残っていなかったが……

聴牌した近藤の前巡の置き土産。【3マン】が放出される形となる。

このマンガンのアガリで瀬戸熊がトップ浮上。雷電はチーム全員がトップを獲得することになった。

結果はご覧の通り。

”牌山には情緒が積まれている”とは誰の言葉だったか。

勝者を決めるのは牌であり、選手はあくまで一番勝率を高めると自身が信じた選択をするに過ぎない。

”どんなにうまい人でも当たり牌を掴んだら勝てない”。当たり前だが麻雀というゲームを考えるうえで決して避けて通れないこの歯がゆさを、捻じ曲げて勝ち切るだけの迫力を今日の四人から見させてもらった。

始まって二週間で熱狂・熱闘・熱論を呼び起こすMリーグ。今年はどんなドラマが待ち受けているのだろうか。

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